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ニチレイの「あえて企業ロゴを入れない」冷凍食品ブランドに見えた勝ち筋

ニチレイフーズは昨秋より一部店舗で展開していた健康系新ブランド「everyONe meal」のラインアップを拡充し、全国展開をスタート。同社がこれまで培ってきた冷凍食品の商品開発力を生かし、健康とおいしさの両立を図る。

出来たての味わいを再現
健康訴求の新ブランド

 ニチレイグループではマテリアリティ1番「食と健康における新たな価値の創造」の実現に向け、2023 年度にブランドステートメント「おいしさと健康を、わかちあえる世界へ~ FoodJoy Equity ~」を策定。このステートメント実現に向け、消費者の健康的な食生活を支える商品開発に力を入れている。

 近年、健康志向の高まりとともに、生命活動の維持に欠かせない重要な栄養素であるたんぱく質を豊富に含む肉や大豆、プロテインなどの食品が注目されている。一方でたんぱく質の目標摂取量はすべての年代で不足しており、現代人の1日あたりのたんぱく質摂取量は、1950 年代と同水準にまで低下している。

 ニチレイフーズはこれまでも糖質、塩分、脂質などに配慮した管理栄養士おすすめの冷凍おかずセット「気くばり御膳」シリーズをEC 限定で長年展開しているが、家庭用の分野では健康配慮型のブランドを展開していなかった。

 そこで同社はおいしさと栄養の両立をめざし、独自技術で出来たての品質を味わうことができる、健康をコンセプトとした新ブランド「everyONe meal(エブリオンミール®)」を2024 年秋に立ち上げた。「everyONe meal」のブランド名にはユーザーの一人ひとりを表す「エブリワン」と、日常の食事「ミール」を組み合わせ、必要な栄養素を「ON」するメニューを届けたいという想いを込めている。白を基調にしたシンプルなパッケージは、表面にあえてニチレイのロゴを入れず、これまでの同社商品とは違う立ち位置のブランドである点を表現している。

冷凍ケース内の集合陳列で
視認性とブランド認知向上

 「everyONe meal」は素材の味や香辛料を生かした調理法で配合をコントロールする、同社独自の「おいしさ再現技術」を採用。100g あたりたんぱく質を9g 以上配合した、毎日の食事で手軽においしくたんぱく質が摂取できるメニューを展開している。

100gあたりたんぱく質を9g以上配合した「everyONe meal」。リゾットやカレーなどの主食系メニューから素材系、軽食まで幅広いラインアップも魅力だ

 ブランド最大の特徴は、リゾットやグラタン、おにぎりといった主食系から「ささみスライス&ブロッコリー」のような素材系、「チーズドッグ」といった軽食まで幅広いメニューをラインアップしている点にある。とくに主食系メニューは一度の食事でしっかりとたんぱく質が摂取できると好評だ。「everyONe meal」は昨秋からのテスト販売の結果を受けラインアップを拡充。25 年3 月より全国で販売する。

 新たに加わったのは「生姜香る参鶏湯」「鶏と豚ひき肉のキーマカレー」「鶏だし香るカオマンガイ」「5 種野菜のチーズビビンバ」の4 品。同ブランドは30 〜 50 代の健康・美容意識の高い女性からの支持が厚いことから、感度の高い女性が興味を持てるようなメニューを多く採用した。バイヤーからの味の評価も高く、全国販売に合わせ取り扱い店舗数も増えている。

 全国販売に向けプロモーションも強化していく。ブランド取り扱い店舗の近隣で広告ポスティングを行うほか、店舗内でも試食販売を積極的に実施。さらに陳列についても各カテゴリーの商品棚に陳列するのではなく、冷凍ショーケース内に同ブランドの商品を集合陳列させることで、視認性とブランド認知を高めていく。

店頭では冷凍ケース1本を使いブランドで集合陳列することを推奨している。また視認性を高めるためのボードやPOPなどの販促物も準備している

 ニチレイフーズではたんぱく質が手軽に摂取でき利便性も高い「everyONe meal」ブランドを通じ、おいしさと健康価値の両立をめざしていきたいとしている。

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