小売業の店舗経営においては、顧客の来店頻度を高め、売上向上を図るためにデータ分析で来店顧客の顧客解像度を高め、マーケティング施策を効果的に実行することが求められている。しかし、来店顧客の行動や特性を的確に捉えられないという課題を抱えている小売業も少なくない。NTTドコモでは、そうした課題を解決するために、小売業の店舗にd Wi-Fiを設置し、Wi-Fiスポット接続データから得られる顧客の位置情報や行動履歴などのデータを分析することで効果的なマーケティング・プロモーション施策の展開を支援する位置情報サービスの小売業への導入展開を本格化している。※1
※1:d Wi-Fiを活用するマーケティングで利用されるユーザーの情報は、「パーソナルデータの取扱いに関する同意事項」に定める位置情報を含むお客さまのパーソナルデータの第三者提供について同意頂いているものに限られます。
d Wi-Fiの契約数3000万人突破、店舗のWi-Fiスポットも拡大
ドコモが無料でユーザーに提供しているdポイントクラブ会員向け公衆Wi-Fiサービスd Wi-Fiの契約数は、2024年12月に3000万件を突破。d Wi-Fiはドコモのサービスだが、ドコモユーザーが利用するだけでなく、ドコモ以外のユーザーでもdポイントクラブの会員であれば※2無料で利用できる。
※2:「dアカウント発行」「dポイントクラブ入会」「dポイントカード利用登録」が必要です。
d Wi-Fiを利用できるWi-Fiスポットは、全国のカフェやコンビニ、ファーストフード店から、多くの人が集まるショッピングセンターやホームセンター、ドラッグストアなど、さまざまな小売業態まで拡大している。無料でかつ、利用回数や利用時間の制限がなく、利便性が高いサービスとして、Wi-Fiスポットが設置されている店舗・場所では、動画や音楽などのエンターテインメントを楽しむなど、さまざまなシーンで利用者が増え、顧客体験価値を高めている。
店舗のd Wi-Fiで顧客属性を分析、マーケティング施策の効果を最大化
ドコモでは、店舗にWi-Fiスポットを設置して、d Wi-Fi利用者の接続情報から得られるデータを分析することで、店舗集客・売上向上のためのマーケティング施策をより効果的に行えるように支援するd Wi-Fiを活用した位置情報サービスの小売業への展開を本格化し、店舗の集客や売上拡大の課題を抱えている小売業への支援を強化している。

小売業が店舗にd Wi-Fiを活用した位置情報サービスを導入するメリットのひとつは、店舗に設置されたアクセスポイントから、Wi-Fiネットワークを通じて利用者の広範囲な接続情報を高精度で取集・把握することができることだ。店舗におけるWi-Fiの利用・接続時間などの接続履歴、来店履歴、滞在時間、回遊行動、行動パターンなど、来店する顧客の豊富なデータの収集が可能になる点も大きなメリットとして挙げられる。
従来、dポイント等のポイントサービスを導入している店舗では、来店客が商品を購入してdポイントカードを提示することで初めて来店の確認ができたが、非購入者やポイントカード未提示ユーザーの来店確認はできなかった。それが、d Wi-Fi設置店の場合には、「d Wi-Fi」利用者の接続情報からデータの収集が可能になるため、今まで来店確認ができなかった非購入者およびdポイントカード未提示ユーザーの来店行動も把握できるようになる。
小売業はd Wi-Fiを活用することで、マーケティング施策のターゲティング顧客数を増やせる。来店客の属性分析を行うことで、広告配信やキャンペーンによる来店誘導や新規顧客の獲得を効果的に行うことができる。さらに、位置情報やdポイント・d払い利用者情報を保有するドコモのデータ基盤と突合することで、より精度の高いターゲティング施策の展開ができるようになり、マーケティング施策の効果検証に役立てられる。
データ分析でターゲット明確化、効果的なマーケティング施策が可能に
d Wi-Fiを活用した位置情報サービスは、さまざまな小売業態で採用されている。山口県の「まちなかにぎわい創出プロジェクト推進事業」に参画している下松(くだまつ)市のショッピングセンター(SC)星プラザではd Wi-Fiを導入。ドコモのデータ基盤を活用して、「どれくらい周辺商業エリアから来店しているか」「どの地区の居住者が来店しているか」などの来店者の分析を行った。その結果、周辺商業エリアへの来店者のうち、星プラザへ来店していない潜在顧客がいることが判明し、潜在顧客の属性分析を踏まえた効果的な施策の立案が可能になった。
さらに、d Wi-Fiのデータを活用することで、星プラザのフロアごとのお客さまの属性、滞在時間の分析も実施。その結果、3フロアのうち、1Fのみの利用が最も高く、次に3Fの利用が高いことがわかった。
星プラザの営業企画マネージャー藤井氏は、「商圏の人流分析、d Wi-Fiを活用することで、どのエリアからどのようなお客さまが来店して買物しているのか、SC内にどのくらい滞在しているのか、1F~3Fの回遊性などをデータとして可視化することができるようになった。今後、データ分析の結果を踏まえて、ターゲット顧客層への効果的なプロモーションを行い、SCの集客・売上向上とともに地域活性化につながる施策を展開して行きたい」と語っている。
様々な売場でd Wi-Fiを活用したマーケティングが開始
ある大手小売業では、自社アプリ×dポイントキャンペーンを実施する際に、d Wi-Fiを活用して検知したデータを基に顧客のターゲティングを行い効果を上げている。店舗に設置したd Wi-Fiの接続情報から、来店客を検知し、後日、dポイント/d払いアプリにキャンペーン情報を送付。キャンペーンを確認した顧客の自社アプリ登録・dポイント連携を促し、その後の来店率を高めることが施策の狙いだ。実際、d Wi-Fiを利用した顧客セグメントの追加によって、同社が過去に実施した同様のマーケティング施策と比較して、キャンペーンへのエントリー率・来店率がともに10%以上向上するという結果を得られた。
Case 1:ホームセンターでの活用事例
ある大手ホームセンターでは、競合店対策の施策として、既存顧客との継続的な関係を維持・強化するためにd Wi-Fiを活用している。それまで、店舗に来店しても未購入顧客を捉えることができないといった課題を抱えていた。d Wi-Fiを店舗で活用することで、dポイント、d払い、ID-POSでも補足できない未購入顧客の識別が可能になり、購買率が高くない店舗における有効な分析データの取得ができるようになった。立地条件や店舗規模の異なる店舗においてd Wi-Fi接続情報から得られるデータを分析することで、マーケティング施策の訴求対象者の拡大とともに、既存顧客との関係性の維持・強化を図っている。
Case 2:ドラッグストアでの活用事例
ある大手ドラッグストアでは、d Wi-Fiの活用で顧客の来店行動を促進するマーケティング施策を効果的に行えるようになった。従来は、店舗に来店しdポイントを提示したユーザーに、ドコモのデータ基盤を基に広告配信を行っていたが、その数は限定的であった。そこで、d Wi-Fi利用データを取得・活用することで、これまでアプローチできなかったdポイント未提示顧客にも広告を配信することが可能になり、結果として配信数は約27倍に拡大、来店客の増加を実現している。
Case 3:小売りチェーンでの活用事例
ある小売りチェーンでは、店舗における自社ブランドの認知拡大と新規顧客の獲得を目的として、d Wi-Fiの活用に踏み切った。同社では複数ブランドを展開。ブランドAはブランドBと比較して認知度が低く、売上が低迷していて赤字の状況が続いていた。ブランドB顧客の送客を狙い、ブランドBのレシートへブランドAを訴求するQRコードを掲載する施策を行っていたが、効果を確認することができないという課題があった。Wi-Fiを設置してデータを取得し、ブランドBの近隣顧客を休日や通勤時にブランドAへ送客するなど、これまでとは異なる顧客行動パターンに対して広告配信を行い、未購入者を含む来店者を把握できるようにすることで、マーケティングデータの取得を可能にし、マーケティング施策の効果検証に役立てられるようになった。
ドコモのd Wi-Fiを活用する店舗は、さまざまな小売業態に拡がりをみせ、来店顧客の属性分析・行動分析に基づいたマーケティング施策の展開で効果を上げている。競争がますます激化する小売業界で、店舗の集客や売上向上に課題を抱えている小売業にはぜひ、d Wi-Fiを活用した位置情報サービスの導入で顧客の「見える化」を図り、マーケティング施策に役立てて欲しい。