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店舗の最適な棚割りを実現してお客様ロイヤリティを創造する5つのポイント

ダンハンビーメインイメージ

「dunnhumbyって、あの本の会社でしょ?」

 いろいろな方とお話をしていると、このような質問を受ける機会が多くあります。「あの本」とは、2007年に出版された英国スーパー最大大手であるTescoのロイヤリティプログラムとその戦略について書かれた書籍であり、中にはdunnhumbyの分析によって会員一人ひとりに個別化されるクーポンの手法が解説されています。翻訳版の発売も追い風となり、日本でも多くの人々が手に取ってくださったことに心地よい衝撃を受ける一方、dunnhumbyが今でも2007年時点の「クーポン」だけをやっている会社だと思っている人の多さに、ちょっと寂しい気持ちを覚えています。

 時が過ぎ時代がかわり、世界情勢は揺れ動き、経済、環境、テクノロジーなど、あらゆる分野でわれわれは大きな変化の渦中にあります。今でも、個別化クーポンはdunnhumbyが最も得意とする分野であることには間違いありませんが、私たちもまた、あれから今まで、グローバルでそして日本で、カスタマーデータサインエスの荒野を切り開きすそ野を広げてまいりました。

dunnhumbyの現在地
dunnhumbyの現在地

 申し遅れましたが、私、dunnhumby Japanのマネージングディレクターをつとめますアレックスと申します。今回は私がナビゲーターとしてみなさまをdunnhumbyのカスタマーデータサイエンスの世界にご案内いたします。

アレックス・シャベルニコヴ
dunnhumby Japan マネージングディレクター アレックス・シャベルニコヴ

 dunnhumbyが1989年の創業以来、戦略と成長の核として貫いてきたテーマである「カスタマーファースト」と「ロイヤリティ」。この理念が、日本および世界中の小売企業やCPGメーカーにとって、変化を生き抜き『選択肢の時代』に対応しながら価値を提供するうえで、どのように役立ってきたのか。本連載では、その支援の方法を深掘りしていきます。

dunnhumbyのパーパスとミッション

 世界中の小売企業とブランドがさらにカスタマーファーストとなり、「小売企業とブランド両方のお客様の生活向上を支援すること」-これがdunnhumbyの掲げるパーパスです。そのパーパスを体現するために、私たちはお客様中心の戦略と個別化で道を切り開き、日本の消費者が適切なタイミングと場所で買物できる環境構築を推進しています。それにより、より充実した生活を実現し、日本中のお客様に豊かさを提供できると信じています。

dunnhumbyのこれまでの歩み

品揃えでお客様のロイヤリティを高めるための5大ポイント

 今回は連載の第1弾として、「品揃え」に注目していきたいと思います。

 はるか昔、チェーンスーパーがなく個人商店だった時代、店主は買物に来るお客様一人ひとりの好みをよく知り、1対1の関係を築いていました。そこから年月が経ち、個人商店が小売チェーンとなると、チェーンの運営を可能にするプロセスや品揃えの中央化が求めらる様になりました。DXが進み個別化や個店対応要素を検出し、大きな規模での実施が可能となってきた今、お客様の買物に対する期待は高まるばかりです。

 品揃えの個店対応とか、ましてや個別化なんて無理でしょ!という意見はごもっともです。だからこそ、「意味がある部分に必要なだけ」差別化をもたらす必要があるのです。それを実践し、店舗の品揃えを通じてロイヤリティと業績の向上を実現する上でおさえるべき重要なポイントは以下の5つになります。

  1. 個別対応の品揃え・棚割り作成と横展開

  2. ますます高まるお客様の期待に応える

  3. お客様が自分のことを知ってくれていると感じる売場作り

  4. 細かいデータを使い「意味のある」差別化を特定

  5. 個別化で売上伸張を加速

1. 個別対応の品揃え・棚割り作成と横展開

 地域に根ざした、あるいはその店舗に特化した品揃えを提供することができれば、売上を2‐4%増加させることができます。一方、国はどこであれ小売企業には共通して耳にする課題があります。まず、棚割り作成開始から完成に至るまでに複数の部署が関わっており、作業の優先順位がそれぞれの部署で違うため、意思決定までに時間がかかりすぎるだけではなく、その長く複雑な過程の中でお客様がすっかり忘れられてしまうこと。ほかに、お客様を意識して個店対応の棚割りを作成しても、売場スペースや尺数の違う店舗への横展開は時間的にもリソース的にも対応できないという声ももっともだと感じます。

2.ますます高まるお客様の期待に応える

 店舗に来店するお客様は、通路を歩きながらあたかもそこが自分の店舗であると感じ、売場に行けば自分の欲しい商品がいつでも買えることを望んでいます。その体験を提供できればお客様はそのお店に再度足を運んでくだるのです。

 2年ほど前のレポートにおいてGartner社は、小売企業に対し、お客様が自分のニーズに合った品揃えを期待するようになったと報告しています。それ以来、お客様の期待は高まり続け、地域に根ざした品揃えを求める声は最高に達しています。ある調査では回答者の66%が「小売企業は買物客独自のニーズを理解できるようになるべきだ」と回答しています。

3. お客様が自分のことを知ってくれていると感じる売場作り

 お客様のうち64%は、変化するニーズに対し小売企業の迅速な対応を望んでいます。また、88%はどの小売店で買物するかを決める際に、商品の品揃えの幅広さが重要であると回答しています。小売企業として、そういった声にどのように応えればよいのでしょうか?

 各店舗ごとのスペースや物理的制約を考慮した棚割りを作成することが出来たら最高なのは間違いありません。ただ、それを実践するには150人の増員でも不可能で、柔軟性と洗練性を兼ね備えた棚割りソリューションの活用とともに、オペレーションや物流の観点からどのレベルでカスタム化が可能なのかという判断が必要になります。

4. 細かいデータを使い「意味のある」差別化を特定

 差別化や個別対応は、なんでも導入すればいいわけではありません。その地域のお客様と店舗において意味のある差別化を見つけ出すことが重要です。

ユースケースをみていきましょう。

 これは英国Tesco社におけるプロテイン系商品での欠落ニーズを特定した例です。セグメンテーションと購買データ、そしてお客様ニーズの伸びを解析してプロテイン系商品という新たな市場を見出し、その品揃えを実現することにより、カテゴリーの売上アップを実現しました。

プロテイン系商品の例

5. 個別化で売上伸張を加速

 以前にも増して、お客様が買物をする場所が増えているのはみなさんも実感していらっしゃるのではないでしょうか。それが事実である以上、自分の店舗で買物をしているからといってもそのお客様がロイヤルカスタマーである保証はありません。適切な店舗に適切な品揃えを導入した次に来るのは、お客様を引き付け引き留めるための個別化です。

 お客様のウォレットシェアのうち、28%は個別化によってもたらされていることが分かっています。お客様の好みにあった商品の提供が買物行動に大きな影響を与える訳ですから、お客様のニーズを反映した商品提供の重要性ははかりしれません。

難題をメリットに変える最先端棚割りソリューション“dunnhumby Assortment”

 やるべきなのはわかっていても規模展開、横展開を考えると気が遠くなるその気持ち、小売企業と手と手を取り合って成長してきたdunnhumbyにはとてもよくわかります。だからこそ、提供開始から20年以上経った今でも進化を続け、世界中で愛される旗艦ツール「dunnhumby Assortment(ダンハンビー・アソートメント)」に、品揃えを店舗ごとに最適化できる機能他、リテールに特化した最新サイエンスとAIを使った便利機能を装備しました。

 品揃え推奨リストと意思決定ツリーの生成から、シナリオシミュレーション、そのまま店舗に展開可能な棚割りの作成や効果測定、自己学習型の改良サイクルまで、業界30余年の経験と最先端技術の活用で小売企業の業績、買物体験、効率性の向上をひとつのツールで実現しています。

 dunnhumby Assortmentは英国Tesco社が業績不振からV字回復を達成した際にも「カテゴリーリセット」の中で意思決定の礎となり、SKU数を18%削減した品揃えで販売数量+1.4%という業績をあげました。

 百聞は一見に如かず。ツールのデモを準備しておりますのでご興味を持ってくださったらぜひともお問合せください。興味はあるけど問い合わせはちょっとな…という場合、3月4日から東京ビッグサイトで開催されるリテールテックJAPANに出展しておりますので、展示ブースにお気軽にお立ち寄りいただき、カスタマーサイエンスの力を目の前で実感してください。

 さて、ここまででdunnhumbyが「あの本」の個別化クーポンの他に、最先端の技術とサイエンスを使った品揃えと棚割りの作成ソリューションを提供している会社である事実をお分かりいただけましたら幸いです。次回以降の連載では、まだまだたくさんある他の分野、例えば5大要素のうち5番目にふれた個別化やリテールメディアについてもお話したいと思っております。