コインスターは1992年、アメリカで産声を上げた斬新な硬貨カウント・ソリューションだ。家庭やオフィスに眠っていた利用目的のない小銭を再び生き返らせることで、店舗や利用者、ひいては社会経済や環境にとって新たな価値を生み出す仕組みといえる。ここでは、コインスターとは何か簡単に紐解くとともに、設置する店舗にとってどのようなメリットがあるかを説明する。さらに、コインスターを実際に導入した小売流通店からの生の声をお届けする。
コインスターとはなにか
意図せずたまってしまった小銭の扱いに困った覚えはないだろうか?コインスター(Coinstar®)は、そうした世界中に普遍的にあるニーズに向けて、1992年、アメリカで誕生した硬貨のカウント・ソリューションだ。事前に硬貨を分別したりまとめたりすることなく、そのままマシンに投入するだけで、紙幣への両替や商品支払いに利用できる大変便利なサービスである。
昨今、キャッシュレスなどによって小銭を使う機会が減り、さらに銀行店舗数の減少も相まって、自宅で使われずに眠る小銭の量は増えていく一方だ。こうした小銭をコインスターで活用することにより、消費者の家計の一助となるとともに、社会経済面でも硬貨を再流通させるメリットが出てくる。
コインスターの利用方法は極めて簡単だ。①マシンの画面をタッチして操作開始。②硬貨をトレイに入れ、マシンに流し込む。③硬貨のカウントが自動的に始まり、すべて数え終わると硬貨の総額から手数料を引いた額の引換券が発行される。④引換券を設置店舗のサービスカウンターに持っていき紙幣に両替したり、キャッシャーに持っていき商品購入に利用したりできる。*
設置直後から売上を生む
それでは、コインスターのマシンを設置する小売店にとってのメリットは何なのだろうか?まず、小売店にとってコインスターは、家庭やオフィスに意図せずたまってしまった大量の小銭を直接、売上に転換できるマシンといえる。
具体的には、利用者が支払う手数料(取扱金額の一律9.9%)から、コインスターの設置台数と利用状況に応じて、小売店に設置手数料が支払われる。設置や運用にかかるコストはすべてコインスターが負担し、小売店が担うのは設置スペース(およそ1メートル四方)と電気代(2~3千円/月・台)のみである。
コインスターのマシン本体は、コインスターが所有・維持するため、小売店にとって設置や維持のために追加料金や時間を要することはない。つまり、コインスターの導入に小売店の投資は不要で、かつ、資本投資や操業費、維持費も不要である。
店舗内消費にも有効
次に、コインスターでは手数料収入という直接的なメリット以外に、間接的に小売店の収益拡大に貢献する経済的な効果が期待できる。それは、コインスターの利用を目的に店舗を訪れた利用者が、利用後に店舗内で滞留するで小売店の売上につながるメリットだ。もともと家庭やオフィスに「眠っていた」利用目的のない小銭なので、コインスターは利用者の消費欲を誘うキッカケになりやすい。
また、リアルタイムの監視と訓練された技術者による定期的なメンテナンスが、常にマシンを最良のコンディションに保ち、カスタマーサービスチームが日々の問題解決に対応している。* 取扱店舗によって選択が可能
お客様の買い物につながる
買い物を続ける利用者
―コインスターを知ったキッカケは?
藤田さん 2019年1月にコインスターの記事が掲載された雑誌を見て興味を持ったことがキッカケでした。調査のために何度か東京に行き、コインスターが設置されている実際の店舗も見に行って、「これは良い」と感じました。理由の一つは、設置手数料が得られるところ。それ以外にも、このような機械が世の中にあまりないことや、以前より両替のご依頼をいただくお客様も割と多かったことが理由に挙げられます。
―コインスター導入の狙いは何でしたか?
北川さん これからはどんどん銀行が減っていき、両替できる場所が無くなっていくのが目に見えていました。なので、弊社の店舗のような地元のスーパーでできるすべがないかと考えました。そして、それが来店動機につながれば良いという狙いがありました。―実際にコインスターを導入して、どのようなメリットがありましたか?
川崎さん お客様の来店動機の一つになったのではないかと思います。さらに、紙幣に交換したお金を店舗の中でお買い物に使っていただけるという副次的な効果もあります。弊社には「アル・プラザ」という食品から衣料品、生活雑貨などを扱う店舗がありますが、こちらでは紙幣に交換したあとにお店に残っていただき、買い物を続けてくださるお客様が多くいらっしゃいます。
―導入後の状況はいかがでしたか?
北川さん 思った以上に需要があったので、正直、びっくりしています。コインスターさんには大変恐縮ですが、1日にせいぜい1 件の利用があるかないかくらいに思っていましたから( 笑)。しかし、そんなことはありませんでした。現実には、複数のお客様が1 日の間にご利用されています。そして、それが毎月続いていることに、さらにびっくりしています。最初は「全然混まないから大丈夫です」と店舗スタッフに説明していたのですが、思った以上に混んでしまい、店としては嬉しいような困ったような。「コインスターが設置してある」という認知が上がってくると、利用者数は確実に増えました。思いのほか、郊外にある店舗で多くの需要がありましたね。
もっと知名度が上がれば
―今後、コインスターにはどのようなことを期待していますか?
川崎さん コインスター自体の認知向上ですね。もっとプロモーションしていただきたいと思っています。弊社では設置店舗が増えつつありますが、他店も含めて世の中に台数がまだ少ないにもかかわらず、それほど利用されていないというのは、認知が足りていないのだと思うのです。コインスター目的でお客様にご来店いただければ、弊社の商品の購入にもつながるので、「日本国民がみんな知っている」くらいまで広まってくれるように宣伝していただくと嬉しいですね。
―貴重なご意見をいただき、大変感謝しています。本日はお忙しいところ、まことにありがとうございました。