[ワシントン 6日 ロイター] – 企業向け給与計算サービスのオートマチック・データ・プロセッシング(ADP)とムーディーズ・アナリティクスが6日発表した9月の全米雇用報告は、民間部門雇用者数が56万8000人増えた。市場予想は42万8000人増加だった。
新型コロナウイルスの感染が収束し始め、旅行やレストランへの出入りなど接触機会の多い活動を再開できるようになったことを背景に、予想を超える増加幅となった。
8月の雇用者数は34万人と、当初発表の37万4000人から下方修正された。
9月は娯楽・接客業が22万6000万人増。前月の15万5000人に続く増加となった。製造業と建設業は共に4万9000人増。他の業種の伸びは緩やかだった。
企業の規模別では、大企業が大部分を占めた。小規模企業は6万3000人増。前月は6万1000人増加していた。
第3・四半期の雇用増平均は41万人。前四半期の74万8000人から減速した。
バンク・オブ・アメリカ傘下のBofAセキュリティーズのエコノミストによると、労働者の職場復帰が続いており、航空機の利用や外食も増え始めている。クレジットやデビットカードのデータでも新規購入が明らかに増加に転じ、払い戻しが減っており、「レジャー活動が再開されていることを示し、新型コロナ感染数の減少と歩調を合わせている」と指摘した。
PNCフィナンシャルのチーフエコノミスト、ガス・ファウチャー氏は「9月に雇用が増加したことで、新型コロナ感染再拡大による雇用の減速が緩和しつつあることが示された」と指摘。JPモルガンのエコノミスト、ダニエル・シルバー氏は、ADP全米雇用報告は労働省発表の雇用統計を必ずしも正確に予想するものではないとしながらも、「労働市場の回復は継続しているとのわれわれの見方が裏付けられた」と述べた。
労働省が8日に発表する9月の雇用統計では、非農業部門雇用者数の47万3000人増が予想されている。8月は前月比23万5000人増と、過去7カ月間で最も低い伸びにとどまった。
9月の労働市場指標はまちまちだった。コンファレンス・ボード(CB)の先週の調査によると、消費者の現在の労働市場の状況に対する見方は軟化していた。
9月中旬の米国の失業者数は8月中旬に比べて減少した。
米供給管理協会(ISM)の製造業の雇用指数は8月に縮小後、9月に回復した。しかし、ISMのサービス業雇用指数は縮小しており、企業は「あらゆるレベルで人手不足を経験している」と報告した。