「今晩の献立は何にしようか」「材料が足りないけど買いに行くのが面倒」──。栄養バランスも良くて家計に優しい食事を毎日考えるのは一仕事だ。米国の主婦・主夫たちはこれを「午後5時の苦悩(“5pm struggle”)」と呼ぶが、この苦悩を解決し、さらに食品廃棄削減にも貢献する新タイプのオンライングロサリー「ショッパブルレシピ」のプレーヤーが続々と登場している。
ショッパブルレシピの仕組みと特徴
ショッパブルレシピとは、ネット上でレシピを検索・選択し、それに必要な食材がそのままオンラインで買えるプラットフォームだ。必要なものすべてが自動的にショッピングカートに入る、言わばレシピサイトとネットスーパーが組み合わさった利便性の高さが特徴だ。ショッパブルレシピは2017 年ごろにテイスティ(Tasty)、eミールズ(eMeals)などのスタートアップ企業が取り組み始め、アマゾン(Amazon.com)、ウォルマート(Walmart)といった大手EC・小売業が追随するようにテストを開始した。
ショッパブルレシピの基本的な仕組みは、「レシピに必要な食材をAIを使ったソフトウエアが自動的に読み込み、提携先の食品スーパー(SM)の在庫情報にリアルタイムにアクセスし、その食材を購入できるオンライングロサリーにユーザーを送客する」というものだ。一時期流行したミールキットと異なり、ユーザー側は①自由にレシピを選べる、②基本的に会費は徴収されず商品価格は店舗と同じなので割安・安心というメリットがある。一方のSM側にはサイトトラフィックと購入率の向上というメリットがある。
ショッパブルレシピの成長に貢献した代表的プレーヤーが、チコリ(Chicory)とフィスク(Whisk)だ。
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