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アマゾン独特の採用方針から学ぶ AWS、Alexa…“常識破りの逸材”が生み出してきた画期的なサービス

米アマゾン・ドットコムのジェフ・ベゾス会長(57)は、同社創業から最高の人材を雇用することを心がけてきた。当初から、入社を志望する者は何人もの社員との面接をクリアした上で、ベゾス会長との直接面談も突破しなければ入社できない仕組みだった。ベゾス会長は、普通の会社には馴染まないタイプを求め、人材紹介会社には「変人を送ってほしい」と頼み込んだ。ベゾス会長の方針は、「(アマゾンに)あのとき入社できてよかった。いまならとても入れないだろう」と入社後5年後に社員が思うような企業にすることだった。

たくさん働き、達成感を楽しみながら、歴史を変える

これは、『ワンクリック』(日経BP社刊:リチャード・ブラント著、井口耕二訳)の中で紹介されているエピソードだ。この話に興味を持ち、実際にアマゾン・ドットコムがどのような人材を求めているのかを調べるために、同社のホームページを訪れてみた。

 すると「Work Hard, Have Fun, Make History」(たくさん働き、達成感を楽しみながら、歴史を変える)という言葉を見つけた。この夢とロマンにあふれるキャッチフレーズに閲覧者のモチベーションは自然と高揚してしまうだろう。ほかのページでは、「地球上で最もお客様を大切にする企業でありたい」とも記してあり、同社が何をする会社であるのかが端的に語られている。広く門戸を開き、最高の人材を採用するためのアマゾンの仕掛けづくりは、ホームページひとつをとっても抜かりないことが分かる。

常識破りの逸材が生み出したアマゾンのサービス

 「経営は言葉」であるゆえに、胸にグッサリと突き刺さるような企業ビジョンを訴えかける採用活動を行っている同社には次々と常識破りの逸材が集まっている。クラウド事業のアマゾンウエブサービス(AWS)を立ち上げ、今年7月5日にCEO(最高経営責任者)の座を引き継いだアンディー・ジャシー氏(53)はその代表といえるだろう。

アンディー・ジャシー氏

 2020年度のアニュアルレポートの中には。「We do crazy things together and then make them normal」(過去には考えられなかったことをやり遂げ、新しい常識をつくっている)とある。実際、ベゾス氏のお眼鏡にかなった変人たちは、「カスタマーレビュー」「ワンクリック」「個人推奨」「配送速度」「アマゾンロッカー」「JUST WORK OUT SYSTEM(=アマゾンGO)」「kindle(キンドル)」「Alexa(アレクサ)」などをリリースし、これまで見たこともないような商品やサービス、仕組みをいまなお創出し、お客の欲望を満たし続けている。

 そしてベゾス氏は、小さな地球の殻を破り、ブルーオリジン社から宇宙に飛び出す。