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DXなしでは淘汰される中国スーパーマーケット業界の厳しい現状

中国の街中の様子
16年頃からアリババ(Alibaba)などのネット企業が展開している新小売系SMや生鮮ECの存在などで、デジタルリテラシーの高い若年~中年層が既存SMから流出している。写真はマスク姿の美団の配達員。広西チワン族自治区で昨年7月撮影(2021年 ロイター/Thomas Suen)

 中国の食品スーパー(SM)企業の2021年第1四半期の財務報告書が業界に衝撃を与えている。主要SMが軒並み大幅な減収減益になったのだ(図表)。業界トップの永輝(Yonghui)ですら、純利益は対前年同期比で98.5%減と、赤字転落こそ避けられたものの大幅な落ち込みを見せている。

 第1四半期は春節を含んでおり、本来は各社にとって最も稼げる季節のはずだ。それにもかかわらず各社が落ち込んだ原因ははっきりしていて、大きく3つを挙げることができる。

 1つは、16年頃からアリババ(Alibaba)などのネット企業が展開している新小売系SMや生鮮ECの存在だ。スマホで注文すれば30分以内に商品が届くため、デジタルリテラシーの高い若年~中年層が既存SMから流出している。

 もう1つは、20年から急成長している「社区団購」の存在だ。これは前日までに注文を行い翌日に指定の場所で商品を受け取るというもので、大型マンションなどを対象とした地域コミュニティ向け共同購入サービスである。社区団購は前日にまとまった数の注文が確定するため、配送システムがシンプルで、そのため既存SMよりも価格競争力が高い。利用ハードルも低く、デジタルリテラシーのさほど高くない中高年層の利用も広がっている。

場当たり的な生鮮宅配参入の功罪

 そして3番目かつ、より深刻な要因となっているのが、

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