[ブリュッセル 5日 ロイター] – 欧州連合(EU)は5日、中国企業による不公正な競争への対抗策を提案した。人権侵害を巡る対中制裁と中国の報復を受け、双方の間で不信感が強まっていることを示す動きだ。
EUの執行機関である欧州委員会は、6つの戦略的分野で中国など域外のサプライヤーへの依存を減らし、域外国の補助金を受けている企業がEU企業を買収したり、公開入札に参画したりすることを制限する計画を公表した。
欧州委のベステアー委員(競争政策担当)は記者会見で、欧州各政府からの国家援助を制御するルールは60年間続いているが、域内企業の買収に利用される域外国の補助金を阻止する規定はなかったと説明。「欧州はビジネスに開放的だが、公平かつ透明性のあるやり方でそれ(規定)を実行する」というのがメッセージだとした。
欧州委はまた、昨年末に合意にこぎ着けた中国との包括的投資協定(CAI)について、批准を目指す取り組みを停止している。欧州議会議員を標的にした中国の報復制裁を受け、欧州議会の支持を得ることが困難になるとみている。
ドムブロフスキス欧州委員(通商担当)は記者会見で「批准手続きは幅広いEU・中国関係の動向とは切り離せない」と述べた。
中国の制裁対象となっている欧州議会のラインハルト・ビュティコファー議員(独緑の党)は記者会見で「中国側はひどい計算ミスを犯した」と指摘。少なくとも2年間は批准されないとの見方を示した。