世界中が新型コロナウイルスの感染拡大という危機に瀕して1年以上が経過した。しかし、状況は大きく変わらないどころか、繰り返す感染拡大、変異種の発生など長期化の様相も呈している。「アフターコロナ」の世界に続くトンネルをなかなか抜け出せないなか、世界最大の規模を誇る米国小売市場はどのような変化の途上にあるのか。販売額ランキングと注目企業の動向を解説する。
食品小売中心に好調百貨店は苦境続く
米商務省が発表した2020年の米国小売業の販売総額は対前年比3.1%増の3兆4562億ドル(約380兆1820億円)だった。
コロナ禍での内食需要の高まりにより、とくに食品を扱う小売企業の業績が好調だ。小売最大手のウォルマート(Walmart)や食品スーパー(SM)米最大手のクローガー(Kroger)をはじめ、アルバートソンズ(Albertsons)、アホールド・デレーズ(Ahold Delhaize)、パブリックス(Publix)、ウェイクファーン(WakefernFood)など大手からリージョナルチェーンまで、前年から2ケタ増の販売額を示す企業が目立った。
このほか、小売大手のターゲット(Target)や、会員制ホールセラー(WC)のコストコ・ホールセール( C o s t c oWholesale)、BJ’sホールセール・クラブ(BJ’s Wholesale Club)、ダラーストア最大手のダラー・ゼネラル(Dollar General)なども2ケタの伸び率となっている。
また、コロナ禍では幅広い世代で消費行動がデジタルへとシフトしていることも背景に、EC企業も好調を見せている。ECの雄・アマゾン(Amazon.com)、オンラインマーケットプレイスの先駆者的存在であるイーベイ(eBay)、家具・インテリア用品専門ECのウェイフェア(Wayfair)などが業績を大きく伸ばした。
そうした一方で、日本と同様に辛酸をなめているのが百貨店業界だ。メイシーズ(Macy’s)やノードストローム(Nordstrom)、ニーマン・マーカス(NeimanMarcus)といった大手百貨店企業は総じて、販売額を大幅に落としている。
上位10社すべて増収
ウォルマートはECが急伸
続いて主要企業の動向を見ていこう。上位10社に限ってみると、コロナ禍という未曾有の事態に直面しつつもすべての企業が増収を遂げており、うち8社は2ケタ増となった。
トップのウォルマートは、
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