米会員制倉庫店最大手のコストコは、従業員の最低賃金(時給)を15ドルから16ドルに引き上げる。2月25日に米上院予算委員会に参考人として呼ばれたクレイグ・ジェリネックCEO(最高経営責任者)が表明した。
同社は2年前に最低賃金を15ドルに引き上げたが、3月1日以降、さらに16ドルに引き上げるとジェリネックCEOは証言した。一方、2020年3月以降、新型コロナウイルス感染拡大に伴って支給していた時給2ドルの上乗せは廃止する。
コストコは現在、世界で803店舗、米国とプエルトリコで558店舗を運営しており、全従業員27万5000人のうち、約18万人が米国で働いている。コストコの賃金は米国の小売業界では最高水準で、ジェリネックCEOによれば、時給契約者の半数以上が25ドルを超える時給を得ているという。
このほか同社は年2回、最大で4000ドルのボーナスを支給しており、これを含めた時給は平均で約24ドル(残業手当を除く)となる。こうした好待遇が離職率の低さにつながっており、時給契約者の約6割が勤続年数5年以上、約3分の1が10年以上となっている。
米国の大手小売業では近年、賃金を引き上げる動きが広がっており、アマゾン・ドット・コムは18年、ターゲットは20年に最低賃金を15ドルとした。ウォルマートは今年2月、米国内の従業員約150万人のうち、現場従業員42万5000人の平均時給を15ドルに引き上げることを明らかにしたが、最低賃金は11ドルとなっている。
米民主党は連邦法で定められている最低賃金を現在の7.25ドルから15ドルに引き上げることを目指している。