[17日 ロイター] – オーストラリアのワイン生産大手トレジャリー・ワイン・エステーツは17日、大規模な事業再編計画を発表した。
中国政府が豪州産ワインに反ダンピング(不当廉売)措置を打ち出したことが背景。優先度の低いブランドなどの資産を売却し、少なくとも3億豪ドル(2億3000万ドル)を調達する可能性がある。
同社の上期決算は純利益が43%減の1億2090万豪ドル(9400万ドル)。中間配当は25%引き下げ1株当たり15豪セントとした。
同社は下期の利益が上期を下回るとの見通しも示した。
事業再編では「ペンフォールズ」「トレジャリー・プレミアム・ブランド」「トレジャリー・アメリカス」の3部門に事業を分割する。
優先度の低いブランドの売却を検討するほか、営業資産の売却、一部のリース契約の解除も検討し、ブドウ園・ワイン醸造・パッケージング業務のコストを削減する。
同社は利益の約3分の1を中国市場で稼いでいたが、中国は同社の製品に最大175.6%の関税を課した。オーストラリア政府は、新型コロナウイルスの発生源を巡る独立調査を呼び掛けたことに対する中国の報復の一環とみている。
同社のティム・フォード最高経営責任者(CEO)は投資家との電話会議で「特に中国市場については、利益に最小限の貢献しかできないと予想している」とした上で、「ペンフォールズ・ビン」などの商品を中国市場から他の市場に振り向ける計画に自信を示した。
同社は中国でのプレゼンスを維持し、ブランドを守るため、現地の規制当局と協力を続ける方針。
トレジャリー・ワインの株価は午後の取引で1%値上がりしている。