[ワシントン 11日 ロイター] – 米労働省が11日に発表した7月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前月比0.6%上昇した。市場予想の0.3%を上回り、2018年10月以来約1年半ぶりの高い伸びとなった。ただ新型コロナウイルス禍からの景気回復の足取りは鈍く、物価は基調として抑制された状態が続いている。
前年同月比では0.4%下落。市場予想の0.7%ほどは落ち込まなかった。食品・エネルギー・貿易サービスを除いたコア指数は、前月比0.3%上昇。前年比では0.1%の伸びだった。
FRBが物価の目安としているコア個人消費支出(PCE)価格指数は、6月に前年比で0.9%上昇した。FRBは物価目標を2%としている。
MUFGのチーフエコノミスト、クリス・ラプキー氏は「卸売物価の回復は緩やかで、FRB当局者がインフレ圧力を強く警戒する理由はなく、非常に刺激的な金融政策を調整する理由もほとんどない」と述べた。
卸売物価の内訳では、食品が0.5%下落。食肉が8.0%落ち込んだ。食品は前月、5.2%下落していた。ガソリンは10.1%上昇。前月は26.3%伸びていた。
モノは0.8%上昇。前月は0.2%の伸びだった。食品・エネルギーを除くモノは0.3%上昇。前月は0.1%上昇だった。
サービスは0.5%上昇し、19年4月以来の高い伸びだった。前月は0.3%下落。貿易、輸送、保管を除くサービスは0.4%上昇した。
小売、卸売業のマージンの変化を示す最終需要取引サービスは0.8%上昇。ポートフォリオ管理費は7.8%上昇した。
一方、航空券は7.0%下落。宿泊関連も落ち込んだ。医療サービスは0.4%上昇した。
航空券や医療サービス、ポートフォリオ管理費はコアPCE価格指数に組み入れられる。
シティグループのエコノミスト、ベロニカ・クラーク氏は「需要減少が価格全体に下押し圧力をかけている。持続的な回復が維持され2%を超える可能性は当面低い」と述べた。