[パリ 23日 ロイター] – ワインの国際審査機関「OIV」は23日、新型コロナウイルス感染拡大を抑止するためバーやレストランが閉鎖されたことを受け、世界的なワインの販売量が大幅に減少したほか、欧州におけるワイン生産者の収入が半減する可能性があるとの見通しを示した。
ワイン販売は都市封鎖が緩和されれば、再び増加する公算が大きいものの、コロナ危機は業界に後戻りできない変化をもたらしそうだ。
欧州のワイン生産者は特にフランス、イタリア、スペインで、緊急支援を求めている。仏生産者は都市封鎖に加え、欧州連合(EU)の航空産業補助金に対する米国の報復措置で、25%の関税が課されていることも響いている。
OIVのロカ事務局長はウェブ会見で、「欧州では重要な供給チャンネルが閉ざされたことで、販売量は35%減、売上高は50%減となる可能性がある」と懸念した。
事務局長は、供給は小売業者やオンライン販売にシフトしているが、全般的な消費量と価格が落ち込み、生産者の売上高と利益に打撃をもたらすと指摘。ワイン業界の縮小は第2次世界大戦終了後の動向と匹敵するとの見方を明らかにした。ワイン産業の世界的な収益は昨年、過去最高を記録していた。
特に地中海諸国における生産者が最も深刻な影響を受けそうだ。同諸国のワイン消費はバーやレストラン、観光に大きく依存しており、これらは都市封鎖解除後も引き続き制限される恐れがある。
事務局長は「現段階では都市封鎖が壊滅的な影響をもたらしたとの見方で一致している。特例的な公的支援がなければ、後戻り不可能な打撃になろう」と警告した。