[上海 10日 ロイター] – 調査機関が公表したリポートによると、中国のスマートフォン売上高は第1・四半期に前年同期と比べ最大50%減少する可能性がある。新型コロナウイルスの感染が急速に拡大する中、小売店が長期間休業しているほか、生産は完全復旧していない。
新型ウイルスの感染拡大で中国国内の死者は900人を突破し、製造業では混乱が続いている。同国では売り上げ減少が何年も続いていたが、第5世代(5G)通信網構築計画を受け、通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)も今年はスマホ市場の持ち直しを期待していた。
米調査会社カナリスは先週のリポートで「中国で大規模なイベントが禁止されていることを踏まえると、スマホメーカーの新製品発売は中止もしくは延期される」との見方を示した。第1・四半期の中国のスマートフォン出荷は前年同期と比べ半減すると試算した。米IT専門調査会社IDCは30%減と試算する。
iPhoneの組み立てを請け負う台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業は工場の稼働を完全に再開できないでいる。こうした中、米アップルは先週、中国の店舗の閉鎖期間を延長すると発表。再開予定日はまだ決まっていない。鴻海は10日に中国河南省鄭州市の主要工場について中国政府から操業再開許可を受けたものの、広東省深セン市の主要工場の再開許可は得られなかった。
中国最大のスマホメーカーであるファーウェイは、生産力は「正常」と述べ、詳細は明らかにしなかった。ただファーウェイは中国の同業他社同様、生産の多くを第三者に外注している。
アナリストは、工場が時間通りにフル稼働に戻らない場合、各社は最新製品の発売を遅らせる可能性があると指摘する。
基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載したスマホで中国三大メーカーである小米科技(シャオミ)とファーウェイ、オッポは上半期に主力製品の最新版を発表することになっている。
オッポはロイターに対して、コロナウイルスの影響で中国では一部の工場で影響はあるが、国外の工場があるため「適切な製造力は保証されている」と話した。シャオミはコメントに応じなかった。
IDCのアナリスト、ウィル・ウォン氏は「工場稼働と労働の再開が後ずれしていることは、店への出荷に影響するだけでなく、中長期的な製品発売の時期がずれるだろう」と話す。
台湾の調査会社トレンドフォースは10日、世界的なスマホ生産が第1・四半期に12%減り、2億7500万台と5年ぶりの低水準になると試算した。iPhone生産は10%減の4100万台とした。
ファーウェイの生産高は15%減の4250万台と予想。トレンドフォースによると、世界最大のスマホメーカーである韓国のサムスン電子は、主力の生産地がベトナムであるためコロナウイルスの影響を最も受けない。サムスンの生産高見通しは7150万台と、前年同期比で3%減にとどまった。