インドの小売市場で圧倒的な存在感を放つのが、食品小売や家電量販などさまざまな業態を展開するリライアンス・リテール(Reliance Retail)だ。本特集「売上平均8.5%増!日本企業も続々ランクイン、世界の小売業ランキング2023」の「急成長小売企業ランキング」で4位につけるなど、世界全体でも成長著しい小売企業の1つである。同社の成長の背景と、今後の可能性について解説する。
リアル小売で覇権をとりつつ、卸売EC事業にも進出
インドは小売ビジネスにおける外資規制が厳しく、ウォルマート(Walmart)やアマゾン(Amazon.com)といったグローバルメガリテーラーも参入障壁の高さゆえに苦戦を強いられている市場だ。こうした外資勢は、インドでは実店舗小売市場という“本丸”で排除された結果、卸売やEC事業にフォーカスしてきたという歴史がある。
その一方で、リライアンス・リテールはインド最大の財閥グループの小売事業会社として、外資リテーラーが動きづらい実店舗領域でトッププレーヤーとして君臨。インド小売市場におけるローカルプレーヤーの雄として、なお拡大を続けている企業である。
食品を中心に扱う小型フォーマット「スマート・ポイント(Smart Point)」や、家電量販店「リライアンス・デジタル(RelianceDigital)」といった主力事業のオーガニックな成長だけではなく、2020年にはインド小売2番手のフューチャー・グループ(FutureGroup)を買収。また、小売に限らず卸売業にも触手を伸ばしており、22年にはメトロ・インディア(METRO India)を買収するとも発表した。
さらには実店舗領域だけでなく、外資勢の主戦場であるECにも事業を拡大。20年には家具専門ECのアーバン・ラダー(Urban Ladder)を買収するなど精力的な展開を続けている。
地場の零細小売との“共生”で成長図る
リライアンス・リテールは経営戦略のテーマとして、
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