米国のコンビニエンスストア(CVS)市場は日本のような上位寡占化は進んでおらず、比較的緩やかな競争が展開されてきた。しかし足元では、中長期的なガソリン需要の減少と、それに伴うビジネスモデルの再構築という課題に直面している。そうしたなかでの上位3社の動きを解説していく。
約8割の店舗がガソリンスタンド併設
ユーロモニターによると、米CVSの2022年の商品販売額(ガソリン等の燃料を除く)は、対前年比6.2%増の1653億ドルで、グロサリー市場の約10%を占めている。一方、日本のCVSのシェアは21%であることを考えると、米国におけるCVSの存在感は相対的に低いように思える。ただし今後5年間の年平均成長率の見通しは6.6%で、CVS以外の平均(5.5%)を上回っている。
米国のCVSの大きな特徴は、その多くがガソリンスタンド併設型店舗であるという点にある。全米コンビニエンスストア協会(NACS)によると、米国内の約14万8000店のCVS店舗のうち、約8割はガソリンスタンド併設型で、かつガソリン等の燃料による売上高が、商品販売額の約1.5倍に上るという。ただ、燃料等の粗利益率は店内商品に対して低く、給油目的の来店客に店内商品を購入してもらうことで、多くのCVSは利益を確保している。
首位セブン-イレブンの課題
米国のCVS市場において最も売上規模が大きいのは日本のセブン&アイ・ホールディングス傘下のセブン-イレブン(7-Eleven)で、米国内の店舗数は約1万2800店舗、シェアは17%である。それに「サークルK」など約7000店舗を運営するアリメンタシオン・クシュタール(Alimen-tation Couche-Tard)が7%、約1000店舗を展開するワワ(Wawa)が4%と続く。
トップシェアを誇るセブン-イレブンは18年にガソリンスタンド併設型CVSを展開するスノコ(Sunoco)、21年にも同業のスピードウェイ(Speedway)を買収。それと同時にガソリンの売上比率も高まっているわけだが、脱炭素化が進むこれからの社会においてガソリン需要の先行きは不透明であり、かつ前述のとおり利益率が低い商材である。
また店内商品についても、米国のセブン-イレブンは加工食品の売上
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