世界的に物価高騰が著しい今日、米国の小売市場ではプライベートブランド(PB)の存在感がますます大きくなっている。そこで本稿では、米主要小売企業のPB戦略にフォーカスし、直近の動きを整理してみた。
PBの売上高成長率はNBの2倍以上に
PBの製造者による協会組織、米PLMA(Private Label ManufacturersAssociation)によると、食品・非食品を合わせたPBの2022年の国内売上高成長率は対前年比11.3%増と、ナショナルブランド(NB)の2倍ほどの伸び率を示した(図表)。金額ベースでは2286億ドル(約30兆8610億円)と過去最高額を記録し、PB比率は前年よりも0.7ポイント(pt)増え18.9%となった。
部門別では、17部門中タバコ以外の16部門で売上が前年と比べて増加。なかでも2ケタの成長率を示したのが、飲料(19.1%)、調理済み食品(17.3%)、チルド食品(17.1%)、酒類(15.6%)、一般食品(14.0%)、生花(13.5%)、ベーカリー( 1 2 . 6 % )、青 果( 1 1 . 9 % )、加 工肉(10.3%)の9部門であった。
PB市場の成長は23年に入っても続いている。第1四半期(1~3月)の結果についてPLMAのペギー・ダビーズ会長は「売上が史上最高レベルに達した22年と比較しても驚くべき成長を示した」とコメント。PB売上高は対前年同期比10.3%増と再びNBの2倍の成長率を記録し、PB比率は19.1%とさらに伸びた。
ただし、部門ごとの成長率には変化が見られた。コロナ禍で需要が高まった酒類と加工肉はそれぞれ5.8%増、青果は6.8%増と伸び率が減速。一方で、ベーカリーが16.8%増と飲料に次ぐ大きな成長を示したほか、美容関連部門でも伸長が見られた。この結果から、生活が日常へと戻りつつある今、消費者の暮らしぶりやニーズが変化していることがうかがえる。
PBシェアで際立つアルディの存在感
消費者データ分析企業のニュメレーターの調査では、23年第1四半期の小売企業各社(EC専業や会員制ホールセールクラブを含む)のPB市場の占有率は、ウォルマート
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