米食品小売業界において、ウォルマート(Walmart)に次ぐシェアを誇るクローガー(Kroger)。昨今は自動化技術を取り入れたフルフィルメントセンター(FC)網の構築や、同業大手のアルバートソンズ(Albertsons)の買収に乗り出すなど、生き残りとさらなる成長を図るための思い切った投資戦略を遂行している。
物流インフラへの投資でECの量と質を向上
クローガーは2018年5月、ネットスーパー専業の英オカド(Ocado)社と提携し、1000台以上のロボットが3Dグリッド上を移動してECのオーダーを自動でピックアップする、カスタマー・フルフィルメント・センター(CFC)網の構築に着手した。最初のCFCを21年4月にオハイオ州モンローに開設した後拡大を進め、現在は主要7商圏で約20のCFCが稼働している。
クローガーは3万㎡以上の大型CFCを重要商圏の中心に開業し、そこから100マイル(約160km)以内の都市商圏に5000㎡前後の小型CFCを設置することで物流を効率化する「ハブ&スポーク戦略」を取る。この下で翌日~3日以内のスピード配送を実現している。また、自社店舗を持たないフロリダ州についても、21年6月にグルーヴランドにハブ(大型CFC)を設置、タンパ、ジャクソンビル、マイアミにスポークを開設。同州においてはEC事業を介して市場開拓を進めている。
クローガーはCFCによってフルフィルメントの効率化、スピードアップだけではなく、機械学習アルゴリズムを活用したラストマイル配送の距離・時間の最適化も図る。これらの取り組みにより、23年末までにEC売上高を現状の2倍まで引き上げたい考えだ。21年には買物代行のインスタカート(Instacart)と提携し、最短30分以内に届ける店舗出荷型の即時配送サービスも提供している。
他方、今年3月にはテキサス州ダラスで、CFCと店舗間のいわゆるミドルマイル配送における自動運転トラックの活用もスタートした。自動運転トラックの開発企業ガティック(Gatik)社との取り組みで、ダラスのCFCから複数の店舗に常温・冷蔵・冷凍の3温度帯に対応する
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