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米卸売物価、9月は前月比0.3%下落 8カ月ぶり大幅マイナス

シカゴのスーパーの様子
シカゴで昨年11月撮影(2019年 ロイター/Kamil Krzaczynski)

[ワシントン 8日 ロイター] – 米労働省が8日発表した9月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前月比0.3%下落し、1月以来の大幅なマイナスとなった。市場予想の0.1%上昇を下回った。前年比での伸びが約3年ぶりの低水準となったことで米連邦準備理事会(FRB)が今月、今年3回目の利下げに踏み切る公算が大きくなった。

前月は0.1%上昇していた。9月の前年同月比は1.4%上昇と、2016年11月以来の小幅な伸びにとどまった。市場予想は1.8%上昇だった。前月は1.8%上昇していた。

食品とエネルギー、貿易サービスを除いたコア指数は前月から横ばいだった。8月は0.4%上昇していた。9月の前年同月比は1.7%上昇。8月は1.9%上昇していた。

エコノミストの間では、製造業部門の低迷を反映し卸売物価が低迷したとの見方が出ている。MUFG(ニューヨーク)の首席エコノミスト、クリス・ラプキー氏は「貿易戦争で製造業者の利益と価格設定能力が損なわれており、米国がこの貿易戦争でどのように勝利しているのかが分かりにくくなっている」と指摘。こうしたことは、広範な景気減速に対する保険として利下げを実施するとのFRBの論拠につながっていると述べた。

数年前に実施された卸売物価指数の算出方法の変更を受け、消費者物価指数(CPI)との関連性は薄れたものの、エコノミストは9月のCPIは低調になると予想。ムーディーズ・アナリティクス(ペンシルベニア州)のシニアエコノミスト、ライアン・スィート氏は「9月のPPIが低調だったことはCPIの下方リスクとなる」と述べた。9月の消費者物価統計は10日に発表される。

FRBが物価の目安としているコア個人消費支出(PCE)価格指数の前年同月比は8月に1.8%上昇だった。今年はFRBの目標である2%を下回っている。

一部のエコノミストは、FRBが29─30日の会合で利下げするとみている。15カ月続いている米中貿易摩擦が設備投資の重しとなり製造業が低迷する中、より広範な経済へ影響が出ている兆しが見られるためだ。

9月の雇用統計で失業率は50年近くぶりの3.5%に改善したものの、雇用の伸びは大幅に減速している。雇用者数の3カ月平均は11万9000人増と、12年7月以来の低水準。前月は13万5000人増だった。

さらに、サービス業の業況感を示す非製造業総合指数(NMI)は9月に3年ぶりの低水準となった。

FRBは11年目に入った過去最長期間続く景気拡大を持続させるため、7月に08年以来初めて利下げに踏み切った後、先月も追加利下げした。

9月のPPIの内訳は、エネルギーが2カ月連続で2.5%下落。ガソリンが7.2%値下がりし、全体を押し下げた。ガソリンは8月に6.6%下落していた。

モノは0.4%下落した。前月は0.5%下落していた。9月のモノの値下がり要因はガソリンが4分の3を占めた。

食品は0.3%上昇した。鶏卵が26.8%上昇したことが押上要因となった。前月は0.6%下落していた。

モノのコア指数は0.1%下落。前月は横ばいだった。

サービスは0.2%下落し、17年2月以来の大幅な落ち込みだった。前月は0.3%上昇していた。9月は貿易サービスが1.0%下げたことが重しだった。貿易サービス費は卸売りや小売りの業者の利幅に相当する。サービスの値下がり要因は機械と輸送機器が2.7%下落したことが半分近くを占めた。

医療サービスは0.3%上昇。前月は0.2%上昇していた。外来費は1.1%上昇し、14年以来の大幅な値上がりだった。医療費用はコアPCE価格指数に組み入れられる。