米アマゾン(Amazon.com)のアンディ・ジャシー最高経営責任者(CEO)がリアル店舗事業の拡大を計画していると、英「フィナンシャル・タイムズ」紙などが2023年2月に報じた。これまでコスト削減の一環として多くのリアル店舗を閉鎖してきたが、23年は巨大市場の食品・日用品分野で攻勢をかける。
拡大計画停止、相次ぎ店舗閉鎖
ジャシー氏はフィナンシャル・タイムズによるインタビューで、「リアル店舗事業を大きく広げる準備ができている」と述べ、22年の大規模な店舗閉鎖については新型コロナウイルス禍で「日常」が失われたためだと説明した。
さらに同氏は、「私たちの事業環境は多くの点で正常な状態ではなかった。だが今は立地やレジ方式、品揃え、価格帯について実験を進めており、有望だと思われるものがいくつかある」とも述べている。
アマゾンは22年春から夏にかけて、米国と英国でリアル店舗の書店「アマゾン・ブックス(Amazon Books)」や、ECサイトで高評価の商品だけを集めた店舗「アマゾン・4スター(Amazon 4-star)」、ショッピングモール内の小規模店「アマゾン・ポップアップ(Amazon Pop Up)」などを閉鎖した。これに伴い傘下の高質スーパーマーケット(SM)チェーン「ホールフーズ・マ ーケット(Whole Foods Market:以下、ホールフーズ)」や直営SM「アマゾン・フレッシュ(Amazon Fresh)」、レジレスCVS「アマゾン・ゴー(Amazon Go)」などに経営資源を集中させている。
ただ、ホールフーズを137億ドル(当時の為替レートで約1兆5000億円)で買収してから5年が経つが、アマゾンは1兆6000億ドル(約219兆円)規模に上る米国の食品・日用品市場で当時恐れられていたような変化をまだ起こしていないと、フィナンシャル・タイムズは報じている。
事実、アマゾンのリアル店舗事業の規模は依然小さい。22年10~12月期のリアル店舗売上高は49億5700万ドル(約6800億円)で、同社全売上高の3.3%に過ぎなかった。ホールフーズ買収以降、アマゾンのリアル店舗事業の収益は10%程度しか増えていない。
アマゾンは当初、アマゾン・フレッシュを200店舗以上出店する予定だったが
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