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ECや物流投資一服の米小売 加熱している店舗運営面のDXとは

米国ではECシフトのなかで小売業界のDX(デジタル・トランスフォーメーション)投資が増大し、ウォルマート(Walmart)、ターゲット(Target)をはじめ大手小売企業は店内オーダーフルフィルメントや店舗ピックアップなどEC運営の効率化・迅速化のためのデジタル投資を活発に行った。これが一巡した現在、店舗の「運営面」でのDX投資が始まっている。

“イノベーション拠点”の整備・強化が活発化

サムズクラブ「デザインスタジオ」のイラスト。中2階から左手はミーティングスペース、右手はデモスペース(サムズクラブのオフィシャルブログより)

 ウォルマート傘下のメンバーシップホールセールのサムズクラブ(Sam’s Club)は今年9月、初のイノベーション専用拠点「デザインスタジオ(DesignStudio)」を本社敷地内に建設中だと公表した。サムズクラブはウォルマートにおいて、最先端のリテールテックの実証の場という役割も担っており、実際にウォルマート本体では中止したスマートフォンによるセルフ決済サービス「スキャン&ゴー」をコロナ前にサムズクラブ全店に導入、AR(拡張現実)技術を使った店内ナビゲーションアプリも提供している。

 今回発表したデザインスタジオは、“アイディアファクトリー”としての機能を持ち、事業化の可能性があるプロジェクトをテストし、議論し、協働できるスペースになるという。コミュニケーションの場、創造力を高める空間、現在の店舗フォーマットに縛られずに商品や什器をテストする環境を構築、エンジニアリング、プロダクトマネジメント、デザインの各チームが職域を超えて協働し、顧客や既存事業が抱える課題を解決していく方針だ。

 サムズクラブのプロダクトデザイン&リサーチ部のトップ、マーティン・グランストロム氏は同社ブログの中で、「もし5年前にデザインスタジオは必要かと尋ねられたら、不要だと答えただろうしかし今日の小売業界では幅広い品揃え、オムニコマース、フィジタル(リアルとデジタルの融合)などについて総体的に考える必要がある」と記している。

 世界的ファストフードチェーンのマクドナルド(McDonald’s)も、社内のイノベーション機能を強化する。同社は1995年に「イノベーションセンター」をシカゴ郊外に開設。実際の店舗を模したテスト・シミュレーション機能を有し、世界各国にある4万店以上の店舗での顧客体験や業務効率の改善、新たなソリューション開発を行ってきた。具体的にはキッチン業務の効率化や新たな調理プロセスの構築、デリバリーサービス「マックデリバリー」のローンチ、モバイルオーダーおよび決済サービスの開発を同拠点で推進した。

 マクドナルドは2023年下期に、

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