米中貿易摩擦、中国政府による各種規制強化、景気後退、長引くコロナ禍などにより、米証券取引所に上場する中国テック企業の株価が軒並み大きく下落している。その中で例外的に堅調なのが、アリババ(Alibaba)のライバル企業であるEC大手・京東(JD.com)だ。ナスダック市場の株価こそ下落基調だが、その落ち方は緩やかであり、比較的高い水準で下げ止まっている。
そもそも、京東は2014年5月に同市場に上場して以来、赤字経営が続いている。コロナ特需により19年と20年は黒字となったものの、21年には再び赤字に転落している。ただ、業績に合わせて株価は多少上下はするものの大きな暴落はしない。そこから株式市場の“優等生”とも称され、テンセント(Tencent)や中国系のベンチャーキャピタル、さらには米ウォルマート(Walmart)も京東に投資している。
それにしても、なぜ投資家たちは赤字経営を続ける京東に信頼を寄せているのだろうか。その秘密は、同社のビジネスモデルにある。
仕入れから配送まで徹底した自前化ビジネス
京東はもともと、北京市内にあった「京東マルチメディア」という店舗を祖業とし、当初はCD-Rなどの記録メディアや電子機器などを販売していた。ところが、03年のSARS(重症急性呼吸器症候群)の感染拡大で、人々が外出を控えたため店舗運営が厳しくなり、電子メールで注文を受け、配達するというサービスを開始したことが、EC企業に転換するきっかけになった。
そうした経緯もあって、京東のECのビジネスモデルは、
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