経済産業省の「2020年商業動態統計年報」によると、20年度の家電量販店業界の市場規模は、対前年比2.6%増の9兆9682億円だった。上位7社による寡占化率は同1.6ポイント増の58.7%。上位各社の業績は概ね好調だが、中長期的なマーケット縮小に備え、各社は家電販売以外の事業拡大に注力し、経営の多角化に取り組む姿勢が窺える。
※2020年3月から経済産業省が「平成28年経済センサス-活動調査」をもとに水準を調整しているため、前年に掲載した市場規模と大幅な乖離が生じている。市場規模の増加率と寡占化率の増加ポイントは現在の水準に合わせて前年の数値を再計算したものとの比較。
TVや調理家電がコロナ禍で好調
16年度から4年連続で市場拡大が続いている家電業界。20年度は対前年度比で上位7社のうち5社が増収だった。20年度は、11年3月に終了した「家電エコポイント制度」や同年7月の地上デジタル放送への完全移行から約10年が経過し、家電の買い替え需要が高まる時期だったことに加え、コロナ禍が到来。自宅での時間を充実させるTVやゲーム、調理家電などが好調だったことが、各社の売上を押し上げた。
しかし、人口減少などによる中長期的な市場縮小は避けられない。こうしたなか、家電量販各社は大手を中心に家電販売以外の事業に活路を見出す「脱・家電」の姿勢を強くしており、組織再編や他社との協業、M&A(合併・買収)に注力している。
ヤマダHDは異業種と次々に提携
最大手のヤマダホールディングス(群馬県:以下、ヤマダHD)は、
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