上場ホームセンター(HC)で6月期決算の2社、ジョイフル本田(茨城県/平山育夫社長)とハンズマン(宮崎県/大薗誠司社長)の2024年6月期本決算が出揃った。23年に久々に超大型店舗を出店した両社はそれぞれ増収営業減益となった。両社とも今期は既存店のてこ入れにより、既存店売上高の底上げをねらう。
ジョイフル本田
出店計画は白紙に、「本田屋」を強化
職人向け商材が好調に推移
平山育夫社長の新体制となって初めての決算となるジョイフル本田の2024年6月期は、売上高が対前期比2.9%増の1268億円、営業利益は同4.8%減の105億円、経常利益は同4.9%減の116億円、当期純利益は同6.6%増の90億円となった。
23年4月にオープンしたジョイホン吉岡店(群馬県前橋市)の収益が通年で寄与し、増収となったが、既存店売上高は前期比0.4%減(24年6月度からジョイホン吉岡店を既存店に含む)だった。
売上高総利益率が季節品やMD(商品政策)戦略の変更等で値下げした影響により前期から0.4ポイント(pt)低下。一方、販管費は、給電先変更による光熱費の減少もあったが、ベアの実施による人件費増のほか、新店コスト、既存店の修繕費の増加もあり、販管費率は0.5pt上昇した。その結果、営業利益、経常利益ともに減益となった。
税引前純利益については、ひたちなか店の底地購入による資産除去債務戻入益約14億円を特別利益に、22年4月に居抜き出店した新業態のジョイホン小山駅前店の減損損失約4900万円をそれぞれ計上。その結果、当期純利益は増益となった。
分野別では、インテリア、業務用を扱う「住まい」カテゴリーは、ジョイホン吉岡店の通年での売上寄与や、職人向けの単独専門店「本田屋」2店舗(宇都宮元今泉店、東京初出店となる立川幸町店)の新規オープン、さらには既存ホームセンターでの「本田屋のインショップ化」(荒川沖店、守谷店、君津店、小山駅前店で実施)の効果で好調に推移した。とくに、ブランド安全靴やファン付き作業着が売上をけん引した。
その一方で、夏の猛暑の影響によりガーデン部門で花苗等の販売や、暖冬の影響により暖房器具等の冬物季節用品が低調だった。「住まい」の売上高は、同1.9%増の720億円となった。
日用品、レジャーを含む「生活」分野では、外出機会が増え行楽用品の需要が徐々に回復。加えて、23年4月から自転車用ヘルメットが努力義務化され、サイクル用品の動向が上向いた。ペット関連では犬猫譲渡会を継続開催し、高品質なペットフードやアクセサリーの販売につなげた。さらに、防災意識の高まりにより、防災食や水等の備蓄品、ポータブル電源や簡易トイレといった防災用品の販売が好調に推移し、「生活」の売上高は同4.1%増の547億円になった。
平山新体制で方針を転換
同社は22年5月に、1975年創業の同社にとって創業50周年の25年6月期を最終年度とする中期経営計画(23〜25年6月期)を公表。売上高目標として1600億円を掲げていた。しかし24年6月期の売上高実績は1268億円にとどまり、目標との差異が332億円と大きく乖離(かいり)したため、業績予想を見直すことになった。
当初の出店計画では「オーガニック成長投資には大型店1店舗と中小型居抜き数店舗の出店」を見込んでいたが、小山駅前店の苦戦により、6店舗分の出店計画を白紙とした。この落込分をカバーすべく、本田屋の出店を進めていく。
25年6月期は「ジョイフル本田のファンをつくる!!」を基本方針とし、「人への投資」「お客さまの問題解決に本気で取り組む」「デジタル戦略」「既存店の魅力をあげるための投資」「積極的な出店ができる体制の構築」を主要テーマに、定量目標を再設定した。
既存店の魅力アップを図り、本田屋のインショップ化を進め、今期は3店舗の出店を計画。また、スピーディな出店体制の構築や、M&A(合併・買収)の検討も進めていくという。
25年6期は、売上高が0.9%増の1280億円、営業利益0.3%増の106億円、経常利益0.5%増の117億円、当期純利益12.0%減の80億円を見込んでいる。
ハンズマン
既存店苦戦も松原店は想定以上
2ケタ増収も大幅営業減益に
ハンズマンの2024年6期は、売上高が対前期比10.6%増の341億円、営業利益は同43.8%減の8億円、経常利益は同38.1%減の10億円、当期純利益は同34.2%減の7億円で、2ケタ増収、大幅減益となった。
同社は23年10月に、11年ぶりの新規出店となる「ハンズマン松原店」(大阪府松原市)を開業。同店は同社最大となる売場面積約6000坪、既存店より5万SKU多い約28万SKUの品揃えを特徴とする超大型店だ。オープンからの累計売上実績は高い伸び率となっており、当初は年間売上高45億円の見込みだったが、47億円に引き上げた。
新店が売上増に寄与する一方で、既存店売上高は同0.8%減となった。売上高構成比で6割近くを占めるDIY用品(56.9%)が同2.6%減となったことが響いた。家庭用品は同1.1%増(構成比29.5%)、カー・レジャー用品は同3.3%増(同13.6%)だった。
客数減の要因について、同社では、物価高による買い控え、住宅着工件数の減少、顧客の要望商品を軸にした新規商品の導入数の激減による売場鮮度の低下を挙げている。同社は品揃えの豊富さを強みとしているが、当期の新規導入数は143アイテムにとどまり(前期は719)、1店舗平均アイテム数も前期から800アイテム減の、20万5000アイテムとなった。
減益の要因については、原材料価格の高止まりや円安の影響で仕入れ価格が上昇していることから、売上総利益率が同0.6pt減の31.8%となったことが大きい。
もう1つの要因として、松原店のオープンに伴う費用や人件費の増加がある。それにより、販管費が同17.8%増となり、売上高販管費率が同1.8pt上昇した。
これらの結果、営業利益率は2.5%、経常利益率は3.2%となった。それぞれ、前期の5.0%、5.7%から収益性を悪化させている。
既存店改装で新規導入を拡大
同社は22年8月、中期経営計画(23年6月期〜27年6月期)を公表していたが、24年8月、最近の経営環境等を踏まえ、27年6月期を最終年度とする3カ年(25年6月期〜27年6月期)の数値計画を見直した。
25年6月期以降は、とくに既存店の売場改装を推進し、品揃えの強化を図っていく方針だ。最終年度業績目標を、売上高378億円、営業利益17億円、経常利益20億円、当期純利益13億円とした。
今期は、既存店改装による取扱アイテム数の拡大(新規導入数2000を目標)、コンサルティング販売機能のさらなる向上(DIYアドバイザー資格取得者数および正社員取得率を500人、95.0%とする)により既存店の底上げをめざす。加えて、新規出店に向けた優良物件の開発(当面は、大阪、名古屋、関東の大都市圏での出店を検討)、従業員満足度の向上(年収の向上・年間休日日数の増加)に取り組んでいく。
25年6月期の業績予想は、松原店の損益改善(約6億円)、既存店の売上総利益の増加を見込み、売上高が同5.2%増の358億円、営業利益は同49.5%増13億円、経常利益同43.3%増の15億円、当期純利益同34.4%増の10億円を計画している。
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