2023年度の家電量販店業界は、新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行で消費志向がレジャー・サービスへと流れ、耐久消費財の売上が振るわなかった。一方で、訪日外国人数が回復に向かい、円安効果も拍車をかけるかたちでインバウンド需要への期待が高まっている。また、各社は省エネ家電への買い替え需要も見込んでいる。
9社中7社が営業減益、需要低迷で“脱家電”の動き加速へ
経済産業省の商業動態統計調査によると、23年度の家電量販店売上高は対前年度比0.8%減の4兆6294億円だった。同年度の家電量販店業界決算では、9社のうち5社が減収となった。
コロナ禍からの社会・経済活動の正常化に伴い、消費志向がレジャー・サービスへと流れたことにより、家電量販店業界では、耐久消費財の消費意欲が減退、客数も減少傾向にある。加えて、暖冬により冬場の暖房家電の販売が振るわず、減収となった企業が相次いだ。
利益面では、粗利益率の低い商品の売上高構成比の上昇や人件費をはじめとする販売費および一般管理費(以下、販管費)の上昇の影響を受け、9社中7社が営業減益となっている。
業界最大手のヤマダホールディングス(群馬県)の24年3月期業績は、営業収益が1兆5920億円(対前期比0.5%減)、営業利益が414億円(同5.8%減)の減収・営業減益となった。
主力の家電量販店事業で、省エネに対応した冷蔵庫や洗濯機などの高付加価値商品、自動調理器具などの時短家電、理美容器具の販売が堅調に推移し、営業収益は前期から微減で着地した。営業減益は、営業人員の拡充と広告投資による販管費の上昇、海外事業での売上・シェア拡大に向けた店舗改装や広告などの先行的費用によるものだ。
25年3月期は、家具やインテリアなどを扱う大型コンセプトストアの「L I F ESELECT(ライフセレクト)」業態を中核に据える。大型店や
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