大手チェーンによる寡占化に拍車がかかるドラッグストア(DgS)業界。2021年には、かねて協議されてきたマツモトキヨシホールディングス(千葉県:以下、マツキヨHD)とココカラファイン(神奈川県)の経営統合がついに実現する。DgS市場が拡大を続けるなか、さらなる上位集中はありえるか。21年10月に誕生予定の新会社、「マツキヨココカラ&カンパニー」の社長に就任予定のマツキヨHD松本清雄社長に、DgS業界の今後の展望を聞いた。
「DgS市場はまだまだ拡大する」
──少子高齢化や人口減少といった長期的な社会変化、さらには新型コロナウイルス(コロナ)感染拡大とDgSを取り巻く環境が急変しています。今後のDgS市場の成長性をどう見ていますか。
松本 少子高齢化・人口減少に向かう日本において、DgSが果たすべき役割は非常に大きく、そして、今後ますます重要になるはずです。
DgSでは、調剤・在宅・介護などの領域での事業の強化や、健康寿命延伸に向けた取り組みが重要になっています。医療費の高騰を考えると、「セルフメディケーション」の推進が必要で、それこそがDgSが専門性を発揮すべき領域です。そうしたなか、マツキヨHDでは、医療の一翼を担う企業グループとして地域医療連携を推し進めるとともに、その地域拠点として「健康サポート薬局」を展開し、地域に信頼され支持されるDgSをめざしてきました。
現在、DgS業界では各社が同質競争を脱し、自社の強みを生かして事業を展開しようとしています。食品の取り扱いを強化して来店頻度を上げようとする企業があれば、調剤を併設する企業もあります。そして、当社のように「美と健康」を中心に多彩なフォーマットを展開する企業もあります。
各社がそれぞれの戦略に磨きをかけ、事業規模拡大をめざしていますので、そういう点から考えても、DgS市場の規模はまだまだ拡大すると思います。
また、コロナの感染拡大というまったく想定していなかった事態が発生し、社会・経済が大きな脅威に晒されたことで、地域医療の一翼を担うDgSの役割・使命をあらためて強く意識するようになりました。そうした観点からも、10月に実施するココカラファインとの経営統合は有意義であり、必要なのだと再認識しているところです。
──マツキヨHDとココカラファインが経営統合し、DgS業界最大手となるマツキヨココカラ&カンパニーが誕生します。それにより、売上高1兆円規模の企業グループが業界内に3つ並び立つことになります。
松本 小売業の中でもDgS業界は寡占化が進んでいない業界でしたから、再編が進むことは自然な流れなのかも知れません。
マツキヨココカラ&カンパニーは、
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