[東京 8日 ロイター] – 内閣府が8日発表した3月の景気ウオッチャー調査で景気の現状判断DIは49.0と、前月から7.7ポイント上昇した。2カ月連続の改善。家計、企業、雇用は、2月に続き3分野すべてでDIが上昇した。緊急事態宣言の解除や企業活動の持ち直しなどで、直近大きく落ち込んだ1月から徐々に経済活動が回復してきた。昨年10月以来の水準となっている。
現状判断DIの前月差7.7ポイントの上昇は過去5番目の上げ幅。内閣府は、景気ウオッチャー調査の判断の表現を「新型コロナウイルス感染症の影響による厳しさは残るものの、持ち直している」とし、2カ月連続で上方修正した。
調査期間は3月25日から31日まで。政府が1都3県(東京、埼玉、千葉、神奈川)の緊急事態宣言を3月21日に解除したことなどが上向きに影響したとみられている。6府県(大阪、京都、兵庫、愛知、岐阜、福岡)の緊急事態宣言は2月末に解除されていた。
家計動向関連では、緊急事態宣言が解除され「春の卒入学や社内異動、引っ越し等に関連する買物の動きがみられる」(九州=百貨店)といった声や、「春休みに入り、少しずつ客が戻ってきている」(北陸=観光型旅館)などの声が出ていた。
企業動向関連DIは50.8と、18年6月以来の高い水準となった。「データセンターやIoTに関する引き合いが以前と比べ明らかに増加してきている」(中国=通信業)とのコメントがあった。一方、「受注量が軒並み前年割れだった。飲食店からの受注減少が大きく響いている」(東海=食料品製造業)との声もあり、業種によっては厳しい状況もあるようだ。
内閣府は先行き判断を「感染症の動向を懸念しつつも、持ち直しが続くとみている」とした。先行き判断DIは、全国12地域中、3地域で上昇、9地域で低下だった。東北、近畿、沖縄など、新型コロナ感染者が増えた地域で先行きが懸念されている。
「新型コロナウイルスの感染者数の増加傾向に歯止めが掛からず、ワクチンの接種もどのように進むかがみえない」(近畿=一般レストラン)と不安を訴える声や、「首都圏で緊急事態宣言が解除されたが、県独自の緊急事態宣言が発出され、飲食店に向け営業時間短縮の協力要請がなされており先がみえない」(東北=タクシー運転手)との声も出ていた。