[東京 3日 ロイター] – 三菱重工業が3日発表した2020年4―6月期連結決算(国際会計基準)は、本業のもうけを示す事業損益が713億円の赤字(前年同期は404億円の黒字)となった。カナダ航空機大手ボンバルディアの小型旅客機「CRJ」事業の買収に伴うのれんの減損や、ジェット旅客機「スペースジェット」の開発体制縮小に伴う損失が響いた。純損益は579億円の赤字(同163億円の黒字)だった。
CRJ事業買収に伴うのれんの減損を含めたスペースジェット事業の損失として688億円を計上した。売上高に相当する売上収益は前年同期比15.4%減の7780億円だった。21年3月期の通期業績予想は据え置いた。
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、旅客需要や新車需要が急減。このため三菱重にとっては、米ボーイング向け旅客機部品や、ターボチャージャーやカーエアコンなど自動車関連部品を含む中量産品の大幅な減収につながった。
小沢寿人(訂正)最高財務責任者(CFO)はオンラインでの決算会見で、4―6月期のボーイング向け部品関連事業の売上収益は「生産調整を行った結果、当初計画に対して約半減した」と説明。現在は生産が徐々に戻っており、4―6月期が「底と見込んでいる」と語った。
ターボチャージャーやカーエアコンなどの売上収益は「当初計画に対して約3割減」と述べた。ただ、4月を底に回復基調にあり、通期見通しにおける4―6月期の想定を上回るレベルで推移しているという。
一方、スペースジェットについては人員削減を実施し、開発体制の規模を縮小、21年度以降としているスペースジェットの納期については現時点で「変更はない」とした。
21年3月期通期については、売上収益が前期比6.0%減の3兆8000億円、事業損益・純損益はいずれもゼロの見通し。通期予想を維持した背景について、小沢CFOは、4―6月期が「おおむね想定通りに推移している」と話した。
金融情報・分析会社リフィニティブが集計したアナリスト10人の通期事業損益の予測平均値は593億円の黒字で、会社予想は市場予想を下回る。