[東京 8日 ロイター] – 住友商事は8日、2021年3月期(今期)決算の業績予想(国際会計基準、IFRS)の公表を見送った。新型コロナウイルスの終息時期・影響の度合いを合理的に見通すことは困難だと判断した。リフィニティブがまとめたアナリスト8人の当期利益予想の平均は2312億円。年間配当予想は70円とした。
オンライン会見した塩見勝常務執行役員兼CFOは、今期業績予想につき、新型コロナ終息時期の読めない現時点で「前提をどう置くかで1000億円以上の大きな変動が起こり得る」と説明。新型コロナの影響が長引く可能性はあるものの、「赤字になる可能性は考えていない」との見方も示した。
新型コロナの感染拡大は、「金属」や「資源・化学品」事業部門などに、大きな影響を及ぼしている。
「金属」事業部門の北米鋼管事業では、鋼管需要が大きく低迷しており、鋼管価格も下落している。自動車メーカーに素材を提供する海外スチールサービスセンター事業も、自動車販売の下落が続く場合は今後さらに大きな影響を受ける見込み。
「資源・化学品」事業部門では、マダガスカルのニッケル鉱山事業やボリビア銀・亜鉛・鉛鉱山事業などで、3月末から操業を一時停。1カ月間操業停止すると、損益に60―70億円の影響を与えるといい、再開時期が延期される場合はさらなる大幅な減益が見込まれる。
2020年3月期の当期利益は、前年比46.5%減の1713億円。米中貿易摩擦による事業環境の悪化に加え、新型コロナ感染拡大による世界経済の停滞は、それぞれの事業に大きな影響を与えた。
特に「金属」事業部門は、500億円の損失となった。北米鋼管事業が減益となったことや、海外スチールサービスセンター事業が低調に推移したため。資源価格の下落などの影響を受けた「資源・化学品」事業部門も、同36.9%減と振るわなかった。