[東京 20日 ロイター] – 政府は20日、2月の月例経済報告で景気の総括判断を「輸出が弱含むなかで、製造業を中心に弱さが一段と増した状態が続いているものの、緩やかに回復している」とし、1月の表現を一部変更したが、水準としては据え置きとの見方を示した。項目別では「輸入」と「倒産件数」の判断を下方修正し、先行きについて新型コロナウイルスの影響を警戒している。
17日に公表された2019年10─12月期の国内総生産(GDP)1次速報は5期ぶりのマイナスとなったが、雇用・所得の堅調な改善が続いているため景気は基調的には回復しているとの見方だ。
総括判断は1月「輸出が引き続き弱含むなかで、製造業を中心に弱さが一段と増しているものの、緩やかに回復している」としていた。今回「引き続き」「増している」との文言を削除・変更したが、景気の水準感としては横這いであることを表現したと内閣府は説明している。
<先行きリスクに新型ウイルス追加も、増税影響は削除>
先行きのリスクとして、1月に記載していた「英国の欧州連合(EU)離脱」と「中東情勢」は、相対的に落ち着いたとして削除。 代わりに新型ウイルス感染症について「内外経済に与える影響を十分注意する必要がある」と明記。閣僚向け会議資料には、中国の経済成長率が1%低下した場合、日本経済は0.09%ポイント下押しされ、米国の0.01%、欧州(ユーロ圏)の0.06%より大きいとの試算も掲載し、リスクを強調している。
さらに、先行きのリスクで、1月は盛り込まれていた、「消費増税後の消費者マインド動向に留意が必要」との記述も削除した。内閣府幹部によると2014年の前回増税時と比較して駆け込み需要と反動が大きくなく、景気ウオッチャー調査でも増税をネガティブの受け止めるコメントが減少していると説明している。
項目別では「輸入」を「おおむね横ばい」から「このところ弱含んでいる」に引き下げた。輸出・生産低迷による部品・原材料輸入の減少が理由という。
「倒産件数」も「おおむね横ばい」から「このところ増加」に下方修正した。卸売・サービス業界の倒産件数増を反映した。
「生産」は、12月の鉱工業生産が小幅ながら前月比改善したものの、低水準が続いていることを反映し、表現を「一段と弱含んでいる」から「引き続き弱含んでいる」に変更した。
「住宅建設」については「弱含んでいる」との判断を据え置いたが、住宅の種類別分析では持家着工の判断を下方修正している。