[17日 ロイター] – 米アップルは17日、新型コロナウイルスの感染拡大が中国での同社製品の生産と需要の両方に影響を与えているため、1─3月期の売上高が会社予想に届かない見通しだと発表した。
中国での同社製品の生産拠点は再稼働したものの、想定よりも生産の立ち上がり遅いと説明。
中国での生産拠点がフル稼働に達していないため、スマートフォン「iPhone」の供給が「一時的に制約を受ける」見通しだとし、「iPhoneの供給制約が、世界中で売上高に一時的に影響する」との見方を示した。
アップルが1月に示した1─3月期の売上高見通しは630億─670億ドルで、市場予想の624億ドルを上回っていた。今回、新たな売上高や利益見通しは示さなかった。
同社は4月に行う次回の決算会見で、より詳しい情報を提供するとした。
アップルはまた、中国の大半の店舗が閉鎖あるいは営業時間を短縮するなか、中国での販売に影響が及んでいると指摘。
そのうえで「当社の店舗は徐々に営業を再開しており、今後も可能な限り安定的かつ安全に再開を続ける」とした。
iPhoneの販売は、10─12月期に1年ぶりに増加に転じていた。
アップルの販売店の一部は閉鎖されたままとなっているか、あるいは営業時間を短縮しているため、今四半期の売上高に影響する見通し。10─12月期のアップルの中国での売上高は136億ドルで、全体の15%を占めていた。前年同期には18%だった。
アナリストらは新型コロナウイルス流行の影響で、世界最大のスマホ市場である中国での第1・四半期のスマホ販売が半減する可能性があると予想している。
三菱UFJモルガンスタンレー証券のチーフ投資ストラテジスト、藤戸則弘氏は、アップル株が割安で取引されているならあまり関係ないが、過去最高値圏にあり、投資家の売りを誘うだろうとの見方を示した。
ウェドブッシュのアナリスト、ダニエル・アイブス氏はリポートで「われわれは数週間前からコロナウイルスがiPhoneに与える悪影響について言及していたが、2月半ば時点で既に売上高見通しが未達になると発表するほどの大きな影響は想定していなかった」と指摘。
同氏は、プレジデンツデーによる休場明けとなる18日の米株式市場で、アップル株に条件反射的な売りが出ると予想した。
ただ、iPhone販売予想未達の影響や4─6月期に反動増となる可能性を見極める必要があるとしながらも、「長期的にはアップルに関する強気な見方は変わらない」と述べた。
アップルは「これらの製品を可能にしてくれている1人1人の健康と幸福が我々にとって最優先事項だ」とするティム・クック最高経営責任者(CEO)コメントを発表。さらに中国国内の販売店は、可能な限り着実かつ安全に再開していくと付け加えた。
アップルのサプライヤーは中国国外よりも国内で生産拠点を増やしてきており、アップルのデータによると、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業は2015年に19カ所だった生産拠点が2019年には29カ所に、和碩聯合科技(ペガトロン)は8カ所から12カ所に増えた。