[東京 18日 ロイター] – 東京株式市場を、前日の「GDPショック」に続き、「アップルショック」が襲った。米アップルが1―3月期の売上高について会社予想に届かない見通しと発表。半導体や電子部品など日本株の上昇を主導してきた「ドライバー」をへし折る形となり、調整ムードを色濃くしている。
アップルは17日、新型コロナウイルス流行が中国での同社製品の生産と需要の両方に影響を与えているため、1─3月期の売上高が会社予想に届かない見通しと発表した。中国での生産拠点がフル稼働に達していないため、スマートフォン「iPhone」の供給が「一時的に制約を受ける」見通しとし「iPhoneの供給制約が、世界中で売上高に一時的に影響する」との見方を示した。
これを受けて、18日の東京株式市場では、TDK、村田製作所、東京エレクトロンなど電子部品株や半導体関連株が急落。昨年後半以降、日本株の上昇は5G関連など将来性が高いグループがリードしてきたが、その主力である「アップル経済圏」とも言われる銘柄群が総崩れとなった。
「いつでも利益確定売りできる株価水準にあったため、外国人投資家が売り急いだ可能性がある。これらは日本株上昇のドライバーであり、上値を試すのが難しくなった」と、三菱UFJモルガンスタンレー証券・チーフ投資ストラテジストの藤戸則広氏は指摘する。
株式市場では、悪材料が具体化した場合「知ったらしまい」という相場格言にあるように、「悪材料出尽くし」や「アク抜け」として反転するケースが多い。
しかし。今回のアップルの業績見通し修正については「これまでは心理的な側面が強かった新型肺炎の影響が現実化した格好になった」(岡三オンライン証券・チーフストラテジストの伊藤嘉洋氏)という。
野村証券・投資情報部長の西澤隆氏は「新型コロナウイルスの影響が出始めていると相場も感じ始めているのではないか」と指摘。今後も具体的な材料が出れば、株価を下押すケースが出てきそうだ。
一方、ドル/円が円高に振れていないことが救いになっている。「企業業績は108円近辺を想定為替レートとしている場合が多く、これが基準として意識される」(西澤氏)という。
また流動性相場は継続しているとして、相場のリード役が腰折れしながらも「テクニカル面では中長期的なトレンドが崩れておらず、きっかけひとつで急反発する可能性もある」(岡三オンラインの伊藤氏)との指摘もあった。
三菱UFJモルガンスタンレー証券の藤戸氏は「前日の米国株式市場が休場だったため、アップルの株価など今晩の米株の動向を見極めたいところ。米国の動きを日本の関係者がミスリード(過剰に心配)している可能性もあり、売り方も深追いしにくい様子がある」と指摘。目先は、今晩のアップルの株価動向が注目されると述べている。