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安全安心だけでは広がらない オーガニックに必要な価値とは!?

「安くなれば量が売れる・量が売れるなら安くなる」。この狭間にいてブレイクできない分野はいろいろありますが、オーガニック食品もその1つのようです。
オーガニックは安全安心。だけど値段が高い。そんな評価が一般的なようです。高いと感じるのは結局、安全安心だけでは価格に見合う価値として納得しづらい、そういうことではないでしょうか。
それならオーガニック食品とは、どうあるべきでしょう? 安全安心からのプラスアルファを検討します。

オーガニックは安くあるべきか

 冒頭に挙げた「安くなれば量が売れる・量が売れるなら安くなる」のジレンマを打ち破る方法ですが、「安くする」しかありません。いかにして生産コストを下げるか、追求するのはこの一点です。「低価格化 → 市場拡大」、そのような事例はあらゆる産業で無数にあります。

 オーガニック市場も、価格が下がれば拡大は間違いありません。しかし、通常の食品にオーガニックの付加価値をつけたカテゴリーなのですから、低価格化を志向するのは、そもそも矛盾というものです。

「高くて不味い」はありえない

 消費者は、オーガニック食品が通常品よりも高いことは理解するとしても、価格と価値のバランスに疑問符を付けています。まずは次のように考えているのでしょう。

「オーガニックは高い。その値段ほどに美味しいの?」

 安全安心だけど、美味しさはトレードオフ。オーガニック食品を購入した際に、そのような「がっかり体験」がけっこうあります。出費がかさむ分、ダメージが残ります。

 オーガニック食品は、通常品よりも価格が高いからこそ、美味しくあってほしいところです。正直、通常品よりも美味しさで上回ることができないものをオーガニックにすべきではないとさえ思います(オーガニックと味の間に因果関係はありませんが、それができなければ日本での販売拡大は難しいという意味です)。

 オーガニックの条件で最高の美味しさを実現すること自体が高いハードルですが、美味しさの評価は人それぞれなので、誰もが認める絶対的な美味しさというのは至難です。安全安心で、大半は通常品よりも美味しいと評価してくれる・・・。そこを起点にして、さらにプラスアルファの価値を備えられるかどうかが、高単価の付加価値カテゴリーにとっての勝負どころではないでしょうか。

 安心・美味しいだけではない工夫の一端として、オーガニックの精肉を冷凍で商品化する事例を紹介したいと思います。

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プラスアルファの価値は、こう作る!ライフとビオセボンの取り組み

希少、便利、バラエティ、見栄え!

ライフコーポレーションのオーガニックミート提案(左)と、ビオセボンによる国産オーガニック牛の展開

 ビオセボン・ジャポンは、19年2月から国産オーガニックビーフの取り扱いを始めました。国内でJAS有機畜産の認証を受けた牧場はまだ数軒しかなく、調達先である北海道オーガニックビーフ振興協議会(HOBA)の設立は17年4月と最近です。ビオセボンは、出荷が始まったばかりの貴重な肉牛を1頭買いしています。

 オーガニックビーフですから、飼料も全てオーガニック認定を受けています。飼料の一部である大豆は、有機醤油を製造した残渣を活用するなどの工夫をしています。牛はブラックアンガス種で、パワフルな赤身が特長といいます。大豆を与えることで、煮込み料理にしたときの味わいが違うそうです。

 国内飼育なのに和牛にしないのはなぜか? 和牛の場合、穀物原料の比率をさらに高めなければならず、現状では難しいようです。

 このビーフを冷凍で商品化することで、店にとっては販売期間を伸ばせます。消費者にとっても長く保存できるメリットになります。安心・美味しいのプラスアルファとして、ここでは冷凍にすることで保存が効くという「利便性」が加えられています。

 肉の凍結方法にもこだわりがあります。冷風を360度から浴びせる急速冷凍によって肉の品質を守ります。スキンパックされた商品は見た目も面白く、ラップ包装のチルドの精肉よりも肉感があるくらいです。自宅の冷凍庫にこれがストックされていたら・・・、インスタにアップしたくなるかもしれません。

 ライフコーポレーションも、都内の一部店舗で冷凍のオーガニックミートを扱います。こちらは輸入品で、ビーフだけでなく鶏肉も揃えます。オーガニックビーフの導入は近畿圏で先行しましたが、その時はチルドでした。首都圏では、やはり販売期間を考えて冷凍を選択したそうです。

 同じリーチインケースには、オーガニックではない鴨肉や仔羊肉のハンバーグ、フォアグラなども陳列します。オーガニックだけでは棚が埋まらなかった? そう疑ぐることもできますが、冷凍肉のバリエーションとして、かえって選択肢の広いコーナーになっていると思います。保存の効く冷凍の付加価値ミートの一種としてオーガニックを提案する・・・。それもやり方ではないでしょうか。

そのオーガニックにテンション上がる?

 まとめます。オーガニック食品の「安全安心」に加えるべき価値。まずは「美味しい」こと。通常品よりも高価であるなら必ずそうあってほしいです。それが難しいわけですが。生産段階で最高の技術を注ぎ込み、「オーガニックだから美味い」となれば理想的です。

 プラスアルファとして、「希少性」とか「利便性」、「デザイン(見栄え)」。オーガニックにテンション上がる! そんな市場になることを期待しています。