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焦点:4月月例・基調判断据え置きへ、5月の「回復」維持は不透明

4月11日、政府は18日に公表する4月の月例経済報告で、景気の基調判断を据え置く見通しだ。海外経済は減速しているものの、内需は堅調との見方を維持する方針だ。2017年1月撮影(2019年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[東京 11日 ロイター] – 政府は18日に公表する4月の月例経済報告で、景気の基調判断を据え置く見通しだ。海外経済は減速しているものの、内需は堅調との見方を維持する方針だ。もっとも個人消費や設備投資の弱さを指摘する声があり、輸出・生産の回復が弱ければ、5月にも基調判断の引き下げについて議論する可能性が浮上している。複数の関係筋が明らかにした。

政府は3月の月例経済報告で「景気は緩やかに回復している」との基調判断は維持したが、「このところ輸出や生産の一部に弱さもみられるが」との表現を追加。景気の現状に関する総括判断は、3年ぶりに下方修正した。

中国など海外経済の減速により、輸出や生産が弱含んでいるのが理由。一方、内需は堅調に推移しているとの見方は維持。基調判断の「回復」は残した。

その後に公表された2月鉱工業生産指数速報は、前月比1.4%増と小幅ながら4カ月ぶりのプラスに転換。3月日銀短観でも大企業・全産業の2019年度設備投資計画は、前年比1.2%増と民間予測の同0.4%減を上回った。

複数の関係筋によると、政府は内需が堅調とのシナリオを変更する必要はないとし、4月の基調判断は変更しない見通しだ。

もっとも2月実質消費支出は、前月比2.0%減少(変動調整値)となり、設備投資の先行指標となる機械受注は、2月分の民需(除く船舶・電力)の反発力が弱く、1─3月期は2四半期連続で前期比マイナスになる公算が大きい。

政府内では「消費が弱くなっており、外需の弱さが内需に染み出している」(経済官庁幹部)との見方が出ている。

こうした足元の情勢を受け、政府が5月月例経済報告における基調判断をどのように表現するのか、政府内では水面下で思惑が交錯している。

3月分の鉱工業生産や景気動向指数、1-3月期の国内総生産(GDP)1次速報の結果次第では「基調判断を引き下げる可能性がある」(経済官庁関係者)との見方が、政府内で急浮上している。

もっとも株価や為替など金融市場での値動きがリスクオン的に推移し、世界経済の回復を先取りする動きになれば、基調判断は「引き下げる必要はない」(関係筋の1人)との考えも聞かれる。

政府・与党内では、月例の基調判断を下方修正する場合、早期の19年度補正予算編成に着手するか、3度目の消費増税延期を検討するなどの対応が必要との声が出ており、今後発表される経済指標を注視するムードが政府内で台頭している。

(竹本能文 編集:田巻一彦)