[東京 2日 ロイター] – 日銀が2日に発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)における「企業の物価見通し」によると、企業が想定する消費者物価の前年比上昇率は、平均で1年後が0.9%上昇となり、前回の昨年12月調査から横ばいとなった。
1年後の消費者物価見通しは、2016年3月調査で1%を割り込んで以降、3年にわたってゼロ%台後半で推移が続いている。
3年後は同1.1%上昇とこちらも前回から横ばい。2017年6月調査から8四半期連続の同水準となった。5年後は同1.1%上昇と前回(同1.2%上昇)から小幅にプラス幅が縮小。5年後の伸び率が鈍化するのは、2016年9月調査以来、2年半ぶりとなる。
同時に公表した各企業の主要な製品・サービスの販売価格見通しは、現在と比べて平均で1年後が0.8%上昇、3年後が1.2%上昇、5年後が1.5%上昇となり、いずれも前回調査から横ばいだった。
日銀が1日に公表した3月短観の概要では、中国をはじめとした海外経済の減速を受けて製造業を中心に企業の景況感が悪化していることが確認された。そうした中で販売価格判断DI(上昇─下落)、仕入価格判断DI(同)ともに、上昇超幅が縮小した。
一方、人手不足に伴う人件費や原材料価格の上昇を受けて、食品を中心に値上げの動きが目立つものの、インフレ期待に高まりはうかがえず、企業の価格設定行動も慎重な動きが続きそうだ。
(伊藤純夫)