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小売業に影響する2019年以降の税制改革(1)
消費税増税と、続く酒税の改正、たばこ税の増額

税金 イメージ

 2019年から2026年の7年間に、流通市場に影響を与えると予想される税制の改革が断続的に施行される。その一つが消費税増税の10%への引き上げで、2つめが酒税の改正、3つめがたばこ税の増税である。

 

 2019年10月に導入される消費税率の10%引き上げは、最も耳目を集めている税制の改正だ。消費税は1989年4月に日本で始めて導入され、以降1997年4月に3%から5%に、2014年4月に8%に引き上げられてきた。10%への引き上げは、当初、2015年10月に実施される予定だったが、前年に1年半の先送りが決定されて2017年4月に導入される予定となったが、これも16年になってからさらに2年半先送りされていた。

 

 酒税の改正は、2020年10月から2026年10月にかけて3回に分けて実施される。最近では2017年6月に、酒類の過度な安売りを規制する改正酒税法が施行され、小売業者が酒類を低価格で訴求することが難しくなった。さらに、2018年4月にビールの定義が改正されて、ビールの麦芽比率を引き下げたことにより、副原料として果実や香味料が使用できるようになっている。これを受けて、メーカー各社では、多彩な味わいのビールの開発が進んでいる。

 

 たばこ税の増税に関しては、一回目が2018年10月に実施されており、紙巻きたばこ1本あたりの税額が1円引き上げて、1箱(20本)あたり20円の値上げとなった。さらに、2020年10月、2021年10月に1本1円ずつ引き上げられ、1箱あたりで考えると、それまでの価格よりも60円の値上げとなる。たばこの売上高が約25%を占めるコンビニエンスストアにとって影響は避けられず、2018年9月は買い置き需要で既存店売上高が3.5%増と高い伸びを示したが、施行された10月はその反動もあって1.5%減となった。今後も、喫煙率の減少が予想され、それにより客足の伸び悩みと、たばこ購入のついで買いの頻度が落ちることも懸念される。

 

2019年以降予定されている税制の改革

2019年10月~ 消費税率の引き上げ
軽減税率の導入
2020年9月30日 消費税の仕入税額計算などの特例の適用期限 ※1
2020年10月~ 酒税の税率改正(一回目)
たばこ税の増税(二回目・一回目は2018年10月)
2021年3月31日 消費税の総額表示義務の特例の適用期限 ※2
2021年10月 たばこ税の増税(最終)
2023年10月 適格請求書等保存方式(インボイス制度)導入 ※3
酒税の税率改正(二回目)
2026年10月 酒税の税率改正(三回目)

※1消費税の仕入税額計算などの特例の適用期限
軽減税率の品目を抱える小売店は仕入や経費の支出のうち、10%と8%の仕入が混在することになり、経理処理が煩雑になることが予想される。こうした処理への対応がすぐに困難な中小事業者は、経過措置として、一定の条件を満たせば仕入の消費税の10%分と8%分の区分集計は、個別に集計せず、売上の消費税の10%分と8%分の割合を用いて、仕入の消費税を計算する特例が認めらる。

※2消費税の総額表示義務の特例の適用期限
消費税の総額表示は、消費者に対する小売段階の価格表示をするときに、義務づけられている。しかし、2013年10月1日から「現に表示する価格が税込価格であると誤認されないための措置」を講じていれば、税込価格を表示しなくてもよいとする措置が実施されている。この総額表示義務の特例の適用期限が、2021年3月31日までとなっている。

※3適格請求書等保存方式(インボイス制度)導入
軽減税率を導入する際、支出項目を正しく選別するための制度として、現在の請求書等保存方式から適格請求書等保存方式(インボイス制度)が採用される。課税事業者は適用税率・税額が記載された「インボイス」の発行が義務付けられる。同時に、発行した「インボイス」の副本の保存が義務付けられる。インボイス制度の導入で、事業者側の手間が増えることが想定されている。