コロナ禍で市場が大きく拡大した冷凍食品。業態別に取り扱いアイテム数が広がっているほか、お客の冷凍食品の食シーンも広がっている。冷凍食品市場の今後はどのような姿になっていくのだろうか。長年冷凍食品市場を分析し、小売業の売場とメーカーの商品を調査してきた富士経済による寄稿をお届けする。
コロナ禍で市販用が大きく成長
冷凍食品市場が伸びている。富士経済の「2022年 食品マーケティング便覧(総市場分析編)」によると、2021年の市販用と業務用を合わせた冷凍食品の販売金額(見込み)は1兆7110億円と、20年の1兆6700億円から約2.4%増加した。
販売金額の成長を後押ししたのは、市販用冷凍食品である。19年の販売金額が9840億円だったのに対し、20年は1兆466億円、21年は1兆684億円と毎年伸びている。コロナ禍が始まった20年は、巣ごもり需要を背景に、ストック性の高い冷凍食品の売上が伸びたことはよく知られている。21年も同様に、外食頻度が落ちた一方で、「本格的な味」を「家で」食べられる冷凍食品が、外食に代わる中食需要の高まりを受けて伸長し、販売金額が伸び続けた格好だ。その一方、業務用冷凍食品の販売金額は、19年の7086億円から、20年は6234億円、21年は持ち直したものの6426億円とコロナ前の水準にまでは回復していない。
市販用冷凍食品は、日本の冷凍食品の“黎明期”である1980年代から、主に「弁当商材」が市場をけん引してきた。しかし、近年は共働き世帯の増加などの消費者のライフスタイルの変化に応じて、即食ニーズが高まりを見せている。さらに、メーカーの技術革新もあり、「おいしい」や「健康」といった付加価値型の商品も拡大している。
とくに、「即食」や「専門店の味」といったニーズに対応できる冷凍調理済み食品は市販用・業務用合わせて市場の伸びが期待できるカテゴリーで、富士経済の調べでは22年に
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