有力食品スーパー(SM)であるヤオコー(埼玉県/川野澄人社長)が2021年2月に立ち上げた新たなディスカウントストア(DS)企業、フーコット(同/新井紀明社長)。設立から1年半超が経過し、現在は3店舗を展開している。本稿では、2号店の「フーコット昭島店」(東京都昭島市)の平日と日曜日の2回にわたる調査を踏まえ、売場の様子やオペレーション、価格競争力の強さにフォーカスして解説する。
調査日:2022年10月19日、23日(文中の価格は調査日の本体価格)
「見切りコーナー」にお客が集中
フーコット昭島店がオープンしたのは、1号店である「フーコット飯能店」(埼玉県飯能市)の出店から約7カ月が経過した22年3月のことだ。
フーコット昭島店には、東京都昭島市の東部、JR青梅線「東中神」駅から北に10分ほど歩くと到着する。周辺は住宅地が広がり、東側には昭島市と立川市にまたがる「国営昭和記念公園」があるのどかなエリアだ。都内ながら歩いて移動する人はさほど見かけず、クルマが主な移動手段となっているようだ。
調査初日の10月19日は快晴で、平日でかつ、開業から半年以上が経過しているにもかかわらず開店前に約60人が並んでおり、その人気ぶりが続いていることが窺える。開店直後に店内を見ると、壁面で展開する生鮮食品、日配品、総菜は商品がきちんと埋まっており、開店前に売場の準備は万端のようだ。主通路に補充スタッフはほとんどいなかった一方、レジは8台の稼働準備ができていた。
開店時にお客が群がる場所があった。鮮魚・精肉・日配売場の「見切りコーナー」である。精肉ではオーストラリア産「牛モモブロック」754円が2割引きの603円に、鮮魚は「秋刀魚2尾」359円が3割引きの251円に、日配では食事パンの「パスコ 超熟6枚」159円が3割引き109円で販売されていた。割り引きされる商品は日によって異なる。「2割引き」「3割引き」は魅力のある割引率だ。生鮮を中心に賞味期限が当日になっている商品が多いものの、鮮度は悪くないように見える。どの商品も12時過ぎには完売していた。
オペレーション分析
青果売場は常時お客が滞留
青果の売場面積は歩測で約130坪。壁面約75尺では「キュウリ」(1本45円)、「白菜」(4分の1カット99円)、「レタス」、「キャベツ」(いずれも1玉99円)など価格訴求力の高い売れ筋商品を配置していた。
開店時には青果売場で男性2人、女性3人の計5人の従業員を見かけたが、30分後には
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