イオン(千葉県/吉田昭夫社長)傘下で小型ディスカウントストア(DS)を運営するビッグ・エー(東京都/三浦弘社長)。商品の値上げが続くなか、同社は商品・カテゴリーの特性や役割に応じて細かく価格を設定することで顧客のニーズに応える戦略を採りつつ、DSの従来のイメージを一新する洗練された店舗開発にも取り組んでいる。
「価格政策で小売企業の優劣が決まる」
コロナ禍で巣ごもりやリモートワークの普及によって内食の需要が拡大し、食品スーパー(SM)やDSは「コロナ特需」の恩恵を受けてきた。しかし2022年3月より、全国で行動制限が緩和されて以降、社会経済活動の回復や消費者のウィズコロナへの意識の定着に伴って家庭での喫食率は減少している。
加えてここ最近は、原材料価格やエネルギー価格の高騰、円安などの影響を受けて、値上げが相次いでいる。22年1~6月に約1万品目が、7~8月の2カ月でさらに約1万品目が値上げされた。10月には飲料や酒類を含めて6500品目以上が値上げされている。ビッグ・エーの三浦弘社長は「日本の消費者にとって10月が分岐点になり、購買行動が変わる」との見解を示し、「価格政策で小売企業の優劣が決まり、その巧拙は企業の存続にもかかわる」と警鐘を鳴らす。
薄利多売の食品小売業では、原価が上昇する局面で一切値上げをせずに事業を維持し続けることはできない。その一方で、消費者は値上げによる家計への負担増を実感しており、安さを強みとするDSにとっては顧客基盤を拡大する機会ともいえる。三浦社長は「お客さまが価格に敏感になっている時期だからこそ、お客さまにとって価値ある店になることが重要だ」とし、「値上げのやり方は知恵の見せどころであり、工夫のしどころだ」と強調する。
ビッグ・エーでは特定のカテゴリーで一律に値上げするのではなく、単品ごとに原価の上昇幅を精査し、品揃えに上昇幅の小さい商品を加えるなど、きめ細かく商品を入れ替えている。売れ筋商品では、
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