イオン(千葉県/吉田昭夫社長)グループの中核事業会社、イオンリテール(千葉県/古澤康之社長)の新体制が始動して半年が過ぎた。総合スーパー(GMS)を主力とする同社は、井出武美前社長のもと改革を実行し、一定の成果を上げてきた。経営のバトンを受け継いだ古澤新社長は、イオンリテールをどのように成長させていくのか。
食品、H&BCに手応え、非食品は“スタート地点”に
──国内の小売業界を取り巻く現在の事業環境をどのようにとらえていますか。
古澤 人口減少や物価高、気候変動など、マクロ環境が激しく変化する中、消費者のマインドやライフスタイル、家族構成なども大きく変わり、小売企業に求められるものも変化しています。
国内マーケットは拡大する局面になく、各社が残されたシェアを奪い合う状況です。この先は「お客さまに最初に想起されるような業態や商品をどうつくりこんでいくか」という競争になっていくでしょう。
1995年にジャスコ(現イオン)に入社、2011年に戦略部長、14年5月に永旺商業有限公司総経理、18年2月にまいばすけっと代表取締役社長に就任。
21年3月にイオンベトナム取締役社長に就任し、23年3月よりイオン執行役ベトナム担当を兼任。
25年3月にイオンリテール代表取締役社長に就任。
イオン執行役GMS担当も兼任する。
──社長に就任してからの半年をどのように振り返りますか。
古澤 現地現物を重視し、「今、何が起きているのか」を自分の目で見て、体感することに注力してきました。
これまでに全28事業部を回り、全国約380店のうち約半数を巡回しました。店長や事業部長の話を聞くと、店舗ごとに商圏特性や競合環境が異なり、それぞれ課題を抱えています。ですが、その本質はどれも似通っていて、それらはグループの根底にある課題だと考えています。
一方、これまで注力してきた食品・H&BC(ヘルス&ビューティケア)は一定の成果が出てきました。いよいよ次のステージに進むべき局面に入っています。衣料品と住居余暇からなる非食品領域もスタート地点には立ったという認識です。
非食品では、「イオン船橋店」(千葉県船橋市)での衣料品の専門店モデルや「イオンスタイル大日」(大阪府守口市)での住居余暇売場のリニューアルなどで新たなモデルづくりに取り組んでいますが、既存店にはまだ十分に展開できていない状況です。商品開発や品揃え、売場づくりの面でもまだ改善の余地があります。これまでの取り組みを進化させ、成長のモデルをしっかりと構築していくことが必要です。
ECは伸長していますが、これも非食品での踏み込みがまだ甘いと感じています。すべての部門において、第一想起されるような核となる商品・カテゴリーをつくっていかなければなりません。
──とくに食品とH&BCはこれまでの取り組みが実を結びつつあるようです。
古澤 売上高は順調に伸びています。客数の増加によって、「館」としても復活し、利益もしっかり出るようになってきました。
食品を扱う小売業として、生鮮3品と総菜を強化する戦略は理に適っています。これらのカテゴリーで売上の
この記事でわかることは
|
続きをご覧の方はこちらのリンクからログインの上閲覧ください。
