2024年8月期通期決算で増収増益、各段階利益で過去最高を更新し、業績好調の良品計画(東京都)は、11月23日付で堂前宣夫前社長が代表権のない会長に、清水智副社長が代表取締役社長に就任した。
11月15日に開催された経営方針説明会では、社長就任を控えた清水氏が登壇し、「出店拡大」「商品開発体制の強化」など、8つの成長ドライバーで世界規模の成長をめざすことを発表した。
良品計画はこれからどのような成長戦略を描くのか、そしてこのタイミングでの社長交代の意味は?
※本稿は清水新社長の経営方針説明会でのプレゼンテーションと質疑応答の内容をインタビュー風に再構築したものです
店舗の大型化で売場の成功モデルを構築
──これまでのキャリアについて聞かせてください。
清水 1996年に良品計画に新卒入社し、25歳で初めて「無印良品銀座一丁目店」(東京都中央区)の店長を務めた後、商品開発部門に移り、ディストリビューターやマーチャンダイザー、デザイン担当として実務経験を積みました。
2011年に「無印良品有楽町店」(同)の店長として販売の現場に戻って以降は、販売部長、東アジア事業部長、商品本部長を担当し、現在、中国大陸を中心とした東アジア事業を管掌しています。
販売から商品開発、海外事業まで、幅広い領域を担ってきたが、業務スタンスのベースとなっているのは、販売での経験です。「現場」「現実」の世界を大事にしています。
──社長交代の理由として、堂前氏が立てた戦略がおおむね出来上がり、その実行フェーズに入ったため、実行力のある清水氏が選ばれたとの説明がありました。
清水 堂前会長は、今後も戦略を組み立てる役割を担っていきます。金井政明顧問(前会長)はクリエイティブにたけた能力を持っているため、社内でクリエイティブ面での提案をいただきたいと思っています。
また、高橋広隆新取締役は、流通を担当した期間が長いため、現場に即したビジネスをサポートしていただこうと考えています。そして、私の特徴は実行力です。堂前会長が「第二創業」で打ち出してきたあらゆる施策をより早く実行して、より早く成果を出すために尽力していきたいと思っています。
堂前会長、金井顧問、高橋取締役のサポートをいただきながら、計画を実行に移していきます。
──さて、過去3カ年についてどのように振り返りますか。
清水 22年8月期~24年8月期までの中期経営計画では、「誠実な品質と倫理観を持った商品を適正な価格で提供する」という第一の使命と、「店舗が地域のコミュニティセンターとしての機能を持ち、地域への良いインパクトを実現する」という第二の使命を掲げ、公益人本主義経営を実践してきました。
第一の使命として、全国津々浦々に出店するとともに、店舗の大型化も進んでいます。郊外型の600坪のフォーマットで、成功モデルを構築できています。
売場面積の拡大によって、独自に開発した商品を十分なスペースで展開できるようになっています。とくに、H&B(ヘルス&ビューティ)のカテゴリーでは、「商品開発」「売場づくり」「マーケティング」が一体となってお客さまに提案できるようになり、業績は好調に推移しています。
第二の使命として、
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