従来の国内生協の枠を超え、今や独自の事業組織体に成長しているコープさっぽろ。それを率いるのが、1998年の経営破綻以降、再建をリードし、その先見性によって道内での確固たる競争優位性を構築してきた大見英明理事長だ。近年進めてきた改革と現在の進捗、そして今後のめざす姿を聞いた。
「生活物資」「インフラ」「医療」の3つで貢献へ
──現在のコープさっぽろを取り巻く事業環境をどのようにみていますか。
大見 179市町村からなる広大な面積を持ち、人口減少が急速に進む北海道は、日本の課題先進地域です。
北海道の人口は1997年の約570万人をピークに減少が続き、現在の約510万人からさらにスピードを上げて減少していくと予測されています。2024年には世帯数も減少局面となり、いよいよマーケットが縮小する時代に入ります。
北海道内179市町村のうち人口5000人以下の自治体はすでに70を超え、札幌圏を除く道内全域で小売業が成り立たない状況が起こり始めています。
地域に住み続ける人々の暮らしが成り立つためには、「食料品を含む生活物資の購入先」「交通インフラ」「医療機関」という3つの要素を解決しなければなりません。コープさっぽろは、これら3つの要素を具現化し、北海道に貢献したいと考えています。
──コープさっぽろは1998年に経営破綻した後、10年で再建し、さらに進化し続けています。
大見 1965年の創設以来、北海道で社会的な役割を積極的に果たし、組合員との信頼関係を地道に築いてきました。98年の経営破綻後も多くの組合員が出資金を引き上げなかったのは、地域の人々がコープさっぽろを見捨てなかったからです。一般の民間企業とは異なり、信頼感や期待感を寄せ続けてくれる組合員の存在があったからこそ今があります。
このような経緯をふまえて、創立50周年を迎えた2015年に、「これから組合員に対してどのように貢献していくのか」を明示したミッションステートメントを策定しました。「人と人」「人と食」「人と未来」の3つを「つなぐ」ことを掲げています。
「人と人をつなぐ」という点では、北海道で200万人以上の組合員を組織し、生産者と消費者、中間流通業者を交えた3層をつないできました。また、生産者から中間加工業者、メーカーまでをつなぐことで、「人と食」をつないでいます。
「人と未来をつなぐ」は、課題先進地域である北海道の社会課題を積極的に解決し、北海道に貢献するために事業を運営していくというわれわれの決意表明でもあります。
コープさっぽろは、消費生活協同組合法上の県域規制により、
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