クックマート(愛知県)は、愛知県・東三河~静岡県・浜松エリアで食品スーパー(SM)「クックマート」を現在12店舗展開。平均売場面積300坪と小型ながら、1店舗当たり平均年商が約28億円と大手を凌ぐほど支持を得ている「ローカルスーパー」だ。その強さの源泉にあるのが、自社の強みにフォーカスした独自の競争戦略だ。その実態と、現在までの道のり、そして今後のビジョンについて、白井健太郎社長に聞いた。
自社の個性を見出し、コンセプトとして言語化
──クックマートは、直近の5年で店舗数がほぼ横ばいにもかかわらず、売上高を伸ばし続けています。
白井 売上高を既存店ベースで伸ばし続けているのが特徴です。2023年度には既存店売上高が対前期比約7%増と伸長し、売上高は337億円となりました。
クックマートは、1995年に創業した業界でも後発のSMです。だからこそ変に大手SMを真似せず、マイペースに、できないことは捨て、むしろ自社の強みに集中するアプローチを採ってきました。
経営学者の楠木建先生(一橋ビジネススクール特任教授)が「違いには違いがある」とおっしゃっていて、この言葉がとても好きです。それはすなわち、「違い」には「ベター(better:程度の違い)」と「ディファレント(different:種類の違い)」の2種類があるということです。
SM業界では同じ土俵で自社と他社を比較し、どちらが「ベター」かを競い合う傾向が強いと感じています。しかしそれは究極のところきりがありません。
対して、自社のコンセプトに基づき、自社のよさを生かすために必要なことをやり続けていくと、売場や商品といった表層の部分だけでなく、深層の組織文化や人事制度も独特になっていきます。それは他社と比較できるもの(ベター)ではなくまさに「別物」=「ディファレント」になるということ。自社独自のコンセプトを見出し、自社の気質や体質に合うことをやれば、おのずと「ディファレント」な存在になるような気がします。
──クックマートの独自性は、いかに培ってきたのでしょうか。
白井 2012年に私が入社した当時、
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