トモシアホールディングス(HD)は旭食品(高知県)、カナカン(石川県)、丸大堀内(青森県)の3社の食品卸企業を核とする持ち株会社だ。各事業会社が九州~関東、北陸~信越、東北~北海道に対応し、全国にネットワークを持つ。2023年3月期の連結決算では売上高が7755億円だったトモシアHDは23年に創立10周年を迎え、5カ年の中期経営計画「TGV(Tomoshia Group Vision)2027」を策定した。これまでの振り返りと今後の戦略について、荒木章社長に聞いた。
新しい価値観に目を向ける
──食品卸をとりまく現在の事業環境について聞かせてください。
荒木 コロナ禍の3年は変化が目まぐるしく、われわれにとって苦しい試練の時期でした。消費者の価値観やライフスタイルが一変し、リモートワークやペット、おひとりさま消費などの市場が拡大した一方、中元や歳暮、義理チョコといった虚礼の廃止や葬儀の簡素化が進み、これらにまつわる市場は縮小しました。
2022年以降、社会経済活動の正常化に伴って外食は回復基調にありますが、コロナ禍以前の水準には戻らないでしょう。トモシアHDの売上高の2割強を占める外食向け卸事業はコロナ禍以前の9割弱にとどまっており、残りの約1割はコロナ禍を機に消失した、もしくはほかのものに替わったのだろうと解釈しています。
小売業態では、ドラッグストア(DgS)の好調な勢いが続いており、食品スーパー(SM)も概ね堅調です。コロナ禍で業績が低迷したコンビニエンスストア(CVS)も回復しつつありますが、コロナ禍以前の水準には達していません。
コロナ禍を機にまったく新しい時代に変わったのですから、コロナ禍以前との比較はもはや意味がありません。コロナ禍で新しく生まれたものやこれから向かう世の中の方向にきちんと目を向けることこそ、経営にとって重要です。
──値上げ局面が長期化していますが、今後の消費動向をどのようにみていますか。
荒木 消費者の節約志向は
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