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オキシクリーンが日本で大きく成長、グラフィコと連携しさらなる成長めざす!

チャーチ&ドワイト(C&D)社は、世界で商品を展開する消費財メーカー。酸素系漂白剤「オキシクリーン」は、日本ではグラフィコが正規輸入販売元として販売し、発売以来大きな成長を続けている。日本を含むアジア市場での戦略を中心に、海外事業総責任者のマイケル・リード氏に聞いた。

グラフィコと協力し日本市場が大きく成長

──海外戦略の概要を教えてください。

リード C&D社には、130国以上の国に250にのぼる代理店があり、世界で約120ブランドの商品を販売しています。2022年の売上高は約55億ドルで、アメリカとカナダを除いた売上シェアは全体の18%。内訳はメキシコ、オーストラリア、フランス、イギリス、ドイツが約65%を占め、残りの35%がそれ以外の地域となっています。

 海外展開においては、各国の代理店をサポートするため、「中国」「APAC(アジア太平洋)」「中南米」「インド・中東」「アフリカ・ヨーロッパ」の5つのディビジョンを設けています。APACではシンガポールにオフィスがあり、20人ほどのスタッフでエリアの代理店のサポートに当たっています。

チャーチ&ドワイト社 海外事業総責任者 マイケル・リード Michael Read(Mr.)
Executive Vice President,International at Church & Dwight, Co., Inc.C&D社海外事業総責任者。C&D社ではカナダ地区の総責任者を歴任後、2021年より現職。新しく傘下に収めたブランドの各国での展開を推進し、海外売上を2021年対比で20%以上押し上げた

──アジア市場をどうとらえていますか。

リード 状況が厳しかった22年でも、海外の売上は2 . 8 % 伸びています。中でもAPACは、最も成長スピードのあるエリア。とくに日本のオキシクリーンの成長スピードは速く、大きく売上を伸ばしています。アジア市場はマーケットとして開拓が始まったばかり。商品の販売数もまだ少なく、潜在的な成長機会が多いと考えています。そういう意味でも、オキシクリーンの売上が、アメリカに次いで大きい日本には期待しています。

──アジア市場での課題は何ですか。

リード 課題は大きく3つあります。1つ目は、良い代理店を見つけること。われわれは子会社をつくるより、その地域をよく知る代理店とのパートナーシップで、ブランドを成長させる戦略を取っています。日本の代理店であるグラフィコとは、幸いにも長期にわたり協力できていて、グラフィコはその役割をしっかり果たしてくれています。その成功事例を台湾、韓国などのアジア地区にも広げていきたいですね。

 2つ目は、国、地域ごとの事情に応じた対策をしっかり立てること。薬などの生活用品は、規制とは切り離せません。国や地域により規制が異なるため、エリアごとの個別対応が必要なのです。

 3つ目は、流通網と製造システムの整備。代理店に力を発揮してもらうため、推進すべき部分です。

──23年の海外戦略をお聞かせください。

リード これまでと同じく、商品/販売地域の拡大ですね。C&D社には15のパワーブランドがありますが、海外市場ではまだ展開数が限られています。各エリアに眠っているニーズを掘り起こすため、これまで以上に多くのブランドを出していこうと考えています。22年は各エリアで新たに60以上の商品を発売しました。引き続き、この方針を続けていきます。

地域ごとの代理店と協力し、ニーズに沿って商品展開

──代理店の選定で重視する点は何ですか。

リード 要件としてはまず、販売戦略に長け強い販売チャネルを持っていること。そのために地域のニーズをしっかりと理解していることです。

 長期のパートナーシップが可能なことも要件です。ブランドを育てるためには、ある程度の時間が必要です。たとえば10年以上、そのブランドに継続的に関わる覚悟があるかどうかも重視しています。さらに、お互いにメリットがあり、成長し合える関係性を築けることも大切です。

──地域ごとの商品展開は代理店に任せているのですか。

リード 商品の仕様などは、地域ごとの代理店に任せています。国により、サイズや使い方など、消費者から求められることは違います。そのニーズに沿った商品・プロモーションを展開してもらえるよう、お任せしています。

 たとえば日本で発売された「オキシクリーン EX 1000g つめかえ用」は、グラフィコが手掛けた商品。アメリカではバケツ型パッケージが一般的ですが、日本では環境意識の高まりでパウチタイプの詰め替えニーズが大きく発売に至りました。

 オキシクリーンの機能の高さは世界共通ですが、どう売るかは代理店の手腕が頼りです。われわれも世界の市場のすべてを深く理解しているわけではなく、代理店に任せる部分も多い。だからこそ信頼できる代理店が必要なのです。代理店からの情報提供やフィードバックを得て、相互に成長することを大切にしています。

──日本の代理店グラフィコとの関係性についてお聞かせください。

リード グラフィコとは20年にわたる関係があり、とても大事なパートナー。市場におけるリーダーシップとクリエイティビティの両方を備え、販売するだけでなく、長期的な戦略でブランド力を高めてくれています。発売当時は無名だったオキシクリーンを、現在は77%と高い認知度を誇るブランドに育て上げてくれました。

──グラフィコに期待することは何ですか。

リード オキシクリーンは海外戦略でも重点的に考えている商品の一つ。これまでのように地域のニーズを深く理解した戦略で、さらにマーケットを広げてほしいですね。すでに獲得したマーケット内でも、商品の使用機会を増やす提案で、継続的にブランド力を高めてくれることを期待しています。

──代理店同士の情報共有は行っているのですか。

リード 代理店同士の交流の場を設け、成功事例の共有も行っています。その軸として機能しているのが、今年で10回目となる「ブランドキャンプ」です。

 ブランドキャンプとは、年に1回、代理店が一堂に会し、成功事例をプレゼンするイベントです。各地の代理店に感謝を伝える場であるとともに、販売に関して成功事例などの情報を共有し、お互いに学び合う研修の場にもなっています。国によってはまだ展開のない商品も多く、そこでは各国の代理店が、他の国に紹介するアンバサダーのような役割も果たしてくれます。

──日本でのオキシクリーンの成功事例は海外にも活用できますか。

リード もちろんそうですね。オキシクリーンは、日本とアメリカで強さを発揮している半面、他国でのシェアはまだそれほど獲得していません。日本の成功事例は他国でも生かせると期待しています。

──海外事業総責任者としてのミッションをお聞かせください。

リード 海外での売上割合を全体の50%まで上げるのがミッションです。時間はかかりますが、C&D社全体の成長にも貢献できる要素だと考えて取り組んでいます。

 C&D社には177年以上の歴史があり、海外市場への挑戦は比較的新しいプロジェクト。大手競合も次々に海外市場に進出している中大きな挑戦ですが、商品や販売地域の拡大にはまだ余地があると考え、投資しているところです。

 そういう意味で、日本は世界第3位の経済大国でもあり、APACの中でも国際的にも重要なマーケット。グラフィコと協力し、引き続き成長を期待したいですね。