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激安か、高くて高品質か 極端な二極化時代を勝ち抜く価格戦略

高いモノも安いモノもニーズは不変

 「中途半端な価格がいちばんダメだね」。小売業や飲料・食品メーカーの関係者からそう聞かされることがある。

 多少の差はあれども、大企業の社員の賃金は基本的には順調に上がっている。今年の春闘では賃上げ率は5%を超えた。業種によってはインバウンド需要の復活も大きいだろう。また株式や不動産を持っている人の中には、ここ数年の資産の増加に心躍っている人もいるかもしれない。こうした恩恵を受けている消費者は決して少なくはなく、高価格帯の商品に対するニーズは依然として高い。

 しかし、日本人の7割以上は中小零細企業で働いており、その多くは物価上昇に賃金が追いついていない。本稿執筆時点では中小企業も徐々に賃上げを実現しているとはいえ、24カ月以上も実質賃金(実際の給与額から物価上昇分を差し引いた指数)はマイナスの状況が続いている。無預貯金で資産のない人たちも多い。

 さらに今後も電気やガソリンなどエネルギー支出の増加も予想される。生活必需品は値上がりしており、1世帯当たり年間で対前年比10万円増の支出を予想する試算もある。週単位に換算すれば、毎週約2000円を節約しなければならないことになる。「ワンコインランチ」が再び注目されるのも納得だ。やはり、「安さ」へのニーズも根強いのである。

消費の二極化が進むなか、小売業は自社のポジショニングを見極めた立ち回りがより重要になっている(写真はイメージです)

二極化を加速させる「スポット贅沢」

 およそ40年ぶりの物価上昇率に対して、

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