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新規顧客獲得優先時代こそ、食品スーパーにとってCRMが大切になる理由

 最近のマーケティング界は、「新規顧客獲得のウェートをもっと上げるべき」という論調が活発化しています。そのため、「CRM(顧客関係管理)戦略推進」というと、マーケッター界隈の間では「ちょっと古い人達」と思われるのではないか、と気にしているのですが、依然重要な戦略であることに変わりありません。そこで今回は、食品や日用品(本稿ではFMCGと略します)のビジネスに関わる人が多い本誌の読者層を鑑み、「FMCGにとってのCRM」という視点で考えてみたいと思います。

新規顧客獲得戦略の際の注意ポイント

 CRM戦略を実行するには、顧客となんらかの手段で直接コンタクトする必要があります。単価が低いFMCGメーカーよりもFMCG小売業がCRMに適した業態となるのは周知のとおりです。そこで、「小売業にとって新規顧客とは何か?」をあらためて考えると、実は「本当の意味での新規顧客はいるのだろうか?」という疑問に行き着いてしまいました。

FMCG小売業で「新規顧客獲得戦略を実施する」と言う際には、「それ」が何を意味するのかに気をつけて、関係者全員が共通した理解をする必要がある(iStock.com/recep-bg)

 チェーンストア隆盛のこの時代、セブン-イレブンにいったことがない人はあまり聞きませんし、イオンも同様だと思います。多くの消費者は、まったく利用したことのない食品スーパーで買物をする機会は、遠方に引っ越したとか旅行のときくらいなのではないでしょうか。

 要は何を言いたいかといえば、FMCG小売業で「新規顧客獲得戦略を実施する」と言う際には、「それ」が何を意味するのかに気をつけて、関係者全員が共通した理解をする必要があります。場合によっては「ほぼ存在しない客層」について延々と議論をし、「空振り確定」の施策を実施することにもなりかねないのです。

新規会員獲得イコール、新規顧客獲得の理由

 だから、FMCG小売業の場合は、CRM戦略がベースになり、新規顧客獲得はその下のレイヤーにある、と考えるべきなのでしょう。CRM戦略を実施する

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