一昨年の年末頃、本誌の編集長と「今年(2022年)は、とうとう本気で値上げをしなければならない年になりそうですね」などと呑気にお茶を飲みながら話をしていたことを思い出します。その後、ウクライナ危機や円安の急激な進行もあり、値上げの話が想像以上に深刻になっています。そこで第7回のコラムで少し触れた「価格弾力性分析」について詳しく話したいと思います。
価格弾力性と価格弾性値とは
「価格弾力性」というのは、価格を変えると販売数量がどのように変わるかという価格と販売数量の関係のことで、価格変更をしたら販売数量が大きく動く場合は「価格弾力性が高い」、その逆の場合は「価格弾力性が低い」、もしくは「ない」といいます。
そのことを「価格弾性値」という数値で表します。たとえば価格を10%上げた際に販売数量が5%下がるという場合は-0.05÷0.1の絶対値をとって「0.5」となります(絶対値ではなく-0.5と言うこともあります)。
この分析に詳しい、海外在住の筆者の知人によると、価格弾力性分析は、多くの国ではかなり前から広く行われていたようで、メーカーよりも小売業が真剣に取り組んでいたと聞いています。この分析では値上げのインパクトを測り、どの程度値上げをしようかという戦略的判断の材料にすることが多く、「値下げでどれくらい売上を上げられるか」という議論に使うことはまれだったようです。
価格弾力性分析をどう解釈するか
価格弾性値の解釈の例として、あくまで理論的可能性での目安として図表のように整理しました。
・・・この記事は有料会員向けです。続きをご覧の方はこちらのリンクからログインの上閲覧ください。