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「中京モデル」を標準化! 大阪屋ショップの緻密な店舗開発戦略に迫る

北陸地方を中心に食品スーパー(SM)54店舗を展開する大阪屋ショップ(富山県/尾﨑弘明社長)。同社は2023年に中京圏に進出して以降、店舗フォーマットの進化・ブラッシュアップを推し進めている。

25年7月に改装オープンした「大阪屋ショップ砺波店」(富山県砺波市:以下、砺波店)は、取材時点での最新フォーマット「Ver.2.3」を導入した店舗だ。同店の売場づくりから、大阪屋ショップの店舗開発戦略の全貌をレポートする。

中京圏モデルを標準化して横展開

 大阪屋ショップは、創業時から「感謝の商い」、そして「薄利多売」を経営理念に掲げ、価格を強く意識した販売戦略をとってきたSMだ。

 同社が地盤とする北陸エリアの商環境は近年厳しさを増している。エリア全体で人口減少が加速する一方で、エリア外から強力なチェーンが続々と進出している。

 大阪屋ショップはこうした状況から、既存の出店地域だけでは成長鈍化は避けられないという危機感を抱いていた。そこで同社が決断したのが、愛知県・岐阜県の中京圏への出店拡大だ。力のある競合企業は多いものの、北陸よりも人口減少スピードが緩やかで、現段階では肥沃なマーケットが広がっているためだ。

改装オープンした「大阪屋ショップ砺波店」

 23年6月に中京圏1号店となる「江南店」(愛知県江南市)を出店した後、24年10月に「各務原店」(岐阜県各務原市)、25年4月に「関店」(岐阜県関市)を出店し、現在3店舗を展開する。これらの店舗はいずれも好調で、江南店では、鮮魚・総菜部門の寿司、ベーカリー、米など特定のカテゴリーを重点的に強化。

 それまで大阪屋ショップの店舗では総菜を含む生鮮4部門の売上高構成比が50%以下だったが、「江南店」では60%以上と大幅に増加した。とくに好調なのが鮮魚だ。中京圏では北陸の鮮魚が人気で、売上高構成比の17%を鮮魚が占める。

総菜売場では、人気商品を低価格で並べ、単品量販で価格訴求する

 大阪屋ショップでは、中京進出における成功モデルとなったこの江南店のフォーマットを「Ver.2.0」と定め、新たな標準店のモデルとした。これ以降の出店・改装では、店舗レイアウトやSKU数などは江南店に合わせてある程度固定しつつ、細かな売場やオペレーションの改善を段階的に進め、「Ver.2.1」「Ver.2.2」とバージョンアップをさせていった。

 25年6月期時点で、「Ver.2.0」以上のバージョンを導入した店舗は10店舗で、これらの店舗が売上全体に占める割合は33%に達している。今後は「Ver.2.0」以上のフォーマット導入店舗を35店まで広げ、売上高構成比70%まで引き上げることを目標としている。

 そして最新バージョンとなっているのが

この記事でわかることは

  • 価格を重視した経営方針のもと、中京圏での成功事例を既存店舗に展開し、商品カテゴリーを絞り込んだ効率的な店舗運営を進めている。

  • 各店舗の状況に合わせて、ばら売りや人気商品のフェース数を増やすなど、顧客のニーズに合わせた売場づくりを徹底している。

  • 定番商品や人気商品を大量に製造・陳列することで、低価格ながら安定した利益を確保し、集客力を高めている。

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